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不況もどこ吹く風、中国の地下資源買収攻勢

 世界的な景気後退にもかかわらず、中国は潤沢な資金力を武器に全世界で鉱物・エネルギー資源を相次いで取得している。昨年末現在で1兆9500億ドル(約180兆円)という世界最大の外貨準備高を誇る中国は、過去1週間でオーストラリアの資源大手2社への出資拡大と買収を相次いで決定した。

◆経営難の資源会社に食指

 16日のロイター通信によると、鉄鉱石の輸出入を手掛ける国営企業の中国五鉱集団は、オーストラリアの鉄鉱石採掘大手のOZミネラルズを17億1000万ドルで買収することを提案した。鉄鉱石相場の暴落で経営難に陥ったOZミネラルズの負債を引き受け、時価を50%上回る水準で全株式を取得する条件だ。

 また、国営企業の中国アルミ(チャイナルコ)は今月12日、英豪系資源大手のリオ・ティントに195億オーストラリア・ドルを追加投資し、出資比率を現在の8%から15%に引き上げることを提案した。中国の海外投資としては最高額だ。投資財源は中国開発銀行(CDB)など国策銀行が拠出するという。昨年12月には中国の3大亜鉛メーカーの一角を占める「深セン市中金嶺南有色金属」がオーストラリアの亜鉛採掘会社ペリルヤの株式50.1%を取得することで合意した。

 中国は昨年9月に金融危機が本格化して以降も海外の油田開発や石油資源確保を続けている。17日付中国紙・第一財経日報は、石油大手の中国石油天然気(ペトロチャイナ)関係者の話として、中国政府が外貨準備高の一部を取り崩し、海外でのエネルギー探査のためのファンドを設立することを検討中だと伝えた。海外油田に投資する中国企業に長期低利融資を提供することが目的だ。

 昨年末には中国業界2位の中国石油化工(サイノペック)が5億6100万ドルを投資し、オーストラリアのAEDオイルの株式60%を取得した。温家宝首相は昨年10月末にロシアを訪問した際、250億ドルの借款を提供し、20年間にわたり原油の現物供与で償還を受ける契約を結んだ。また、中国の石油関連企業は同月、ブラジル石油公社(ペトロブラス)に100億ドルを投資し、共同で海底油田開発を進めることでも合意した。

◆外貨準備の投資先を多角化

 中国の相次ぐ資源買収攻勢は、経営難に陥った資源会社や経済危機が深刻な国がターゲットだ。中国の立場から見れば、▲不足する天然資源を安価で確保▲世界の景気回復で差益に期待▲米国債などドル資産に偏った外貨準備の投資先を多角化する-という狙いがある。温首相も自ら「資源確保に資金は惜しまない」と発言している。

北京=李明振(イ・ミョンジン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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