2009年2月21日 20時36分 更新:2月21日 22時58分
21日午後2時45分ごろ、埼玉県伊奈町小室のJR上越新幹線下り線の大宮-熊谷駅間で、走行中の東京発新潟行き「Maxとき367号」(8両編成)から乗客が転落した。新幹線は緊急停止し、JR東日本の係員が停車位置の約2.7キロ手前の線路上で男性の遺体を発見した。
県警上尾署によると、大宮駅発車の数分後、男性が2号車の乗降ドア上部にある非常用コックをひねり、ドアを開けて飛び降りたのを複数の乗客が目撃している。自殺を図ったとみられる。男性は50歳前後で作業着姿。遺書は見つかっていない。
JR東日本によると、加速中の新幹線は時速約200キロ出ていたが、全車両のドアが閉じると点灯する運転席のランプが突然消えたため、運転士が急制動をかけた。乗客約370人にけがはなかった。この事故で、JR上越、長野、東北新幹線が一時運転を見合わせ、23本が運休、48本が最大約2時間50分遅れ、約3万7500人に影響が出た。
走行中の新幹線のドアが開いて乗客が転落する事故は、少なくとも過去5件発生している。静岡県内で昨年4月、東海道新幹線の非常用コックを操作し、飛び降りた男性が死亡。07年3月にも同県内を走行中ののぞみ号から男性が転落死した。JR東日本新幹線運行本部は「2010年度から導入する新車両では、一定速度以上ではコックを扱えないよう装置を改める」としている。【和田憲二、稲田佳代、飼手勇介】