台北駐日経済文化代表処(台湾の駐日代表部に相当)の馮寄台(ひょうきたい)代表は
二十一日、約八十年前の台湾で水利事業に尽力した八田與一技師の生家(金沢市今町)を
訪れ、「八田さんの家に来ることができて光栄です」と語った。
馮代表は、八田技師の兄の孫にあたる八田守さん(59)、章子さん(56)夫妻の出
迎えを受けた後、敷地内の生誕地碑を見学した。功績を記した碑文を熱心に読み、碑に向
かって深々と一礼した。
国の登録有形文化財に指定されている生家の中へ案内された馮代表は、室内に飾られた
技師の写真などに興味深げに見入った。こたつに入って守さんらと談笑し、技師の好物だ
ったというかきもちでもてなされた。
守さんが「八田技師が亡くなって何年もたつのに、毎年、命日にお参りしてくれる台湾
の人に感謝したい」と述べると、馮代表は技師が台湾に築いた烏山頭(うさんとう)ダム
について「素晴らしいエンジニアリング(工学技術)。八十年たった今も当時のまま使っ
ているのは本当に貴重だ」と語った。
馮代表はこの後、市内のホテルで谷本正憲知事と懇談し、小松−台北便の一層の利用促
進について協力していくことで一致、同代表は県議会日台友好議員連盟とも懇談した。午
後から、金沢ふるさと偉人館で行われる技師の生誕祭に出席する。