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KTX欠陥工事:時速300キロ、大惨事の恐れも(上)

コンクリート製の枕木に亀裂発見

 今月12日午前、韓国高速鉄道(KTX)の第2期工事区間である慶尚北道永川市大昌面から同市北安面にかけての5580メートルの区間。第2期工事区間は大邱‐蔚山間の第4工区と蔚山‐釜山間の第5工区に分かれており、この区間は第4工区に属する。レールの敷設作業は2007年10月、上下線ともに完了している。ところが、この区間のうち約300メートルの範囲で点検を行った結果、設置済みのコンクリート製の枕木(横250.9センチ、縦28.1センチ、高さ18.5センチ)のうち約10本に、20‐30センチの亀裂が入っていることが肉眼で確認された。

 韓国鉄道施設公団は先月29日から今月4日まで、レールの敷設が完了したすべての区間で枕木の調査を行い、補強作業を行うなどの措置を講じた。同公団によると、現在までに上下線合わせて96.9キロの区間でレールの敷設が完了しており、コンクリート製の枕木が15万5000本敷かれているが、このうち亀裂が見つかった枕木は222本(約0.15%)に上った。

◆列車の安全な運行を支える重要な設備

 レールの敷設作業では、列車の車輪が直接触れる鉄製のレール、その下に敷かれるコンクリート製の枕木、レールと枕木を連結する装置という三つの部材が使われる。

 このうち、レールの下に65センチ間隔で敷かれる枕木は、列車が高速走行する際にレールの間隔を一定に保つことができるようにすると同時に、レールにかかる力を分散させることにより、レールが曲がるのを防ぐ。列車の安全な運行を支える重要な設備だというわけだ。レールの総延長が片道124.2キロ、上下線合わせると254.2キロに及ぶ大邱‐釜山間のKTX第2期工事では、約35万8000本の枕木が敷かれる予定だ。

 レールと枕木を合わせた「軌道」には、路盤にバラスト(砕石や砂利)を敷き、その上に軌道を敷く「バラスト軌道」と、コンクリートの路盤に軌道を敷く「スラブ軌道」がある。バラスト軌道は相対的に工事費が安く、工事期間も短い上に、枕木に亀裂が入ったりした場合でも補修がしやすいという長所がある。しかし、枕木とバラストがくっ付いていないため、列車の運行が繰り返されると、その重みで枕木が上下、左右に曲がり、それによってレールが曲がる可能性もあり得るという短所もある。なお、韓国では現在、大部分の在来線と、KTXのソウル‐大邱間のうち一部を除いた区間でバラスト軌道が採用されている。

 一方、スラブ軌道はコンクリート製の枕木が路盤にしっかりと固定されるため、列車の運行が繰り返されてもレールが曲がることはほとんどない。高速鉄道が発達したドイツをはじめ、高速鉄道の導入を進めている多くの国々でスラブ軌道が採用されている。だが、すべての区間でスラブ軌道を採用するというのは、韓国ではKTXの大邱‐釜山間が初めてだ。この工法を用いる際、工事費はバラスト軌道に比べて50%ほど高く、工事期間も長くかかる上に、枕木などにトラブルが発生した場合、補修などがしにくいという短所がある。匿名を条件に取材に応じた鉄道分野の関係者は、「スラブ軌道は枕木の亀裂などの問題が発生した場合、周辺部分をすべて取り外して補修を行わなければならないため、軌道の敷設の段階から欠陥のない部材を使用しなければならない」と話している。

今月12日、韓国高速鉄道(KTX)の第2期工事区間である慶尚北道慶州市のファシル・トンネル近くの工事現場で、作業員たちがレールの敷設作業を行っている。/写真=イ・ジェウ記者

大邱=パク・ウォンス記者

永川(慶尚北道)=チェ・スホ記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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