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三浦元社長:逮捕1年 日本側、引き渡しを拒否 捜査主任、経緯を語る

 ◇「渡米機会待った」

 【ロサンゼルス吉富裕倫】81年のロス銃撃事件で米当局に逮捕され08年10月自殺した三浦和義・元輸入雑貨販売会社社長(当時61歳)の捜査経緯について、米ロサンゼルス市警で捜査主任を務めたリック・ジャクソン刑事が19日、毎日新聞の取材に応じた。日本で無罪が確定した後、日本政府に身柄引き渡しを求め断られたことなどを明らかにした。

 ジャクソン刑事は、米自治領サイパンで三浦元社長を逮捕してから、21日(日本時間22日)で1年となるのを前に経緯を説明した。

 それによると03年日本の最高裁が元社長の無罪を確定させた後、ロス市警は郡検事局を通じ88年の逮捕状を根拠に身柄引き渡しを要請。しかし容疑の殺人罪と殺人の共謀罪のうち、殺人の共謀罪が日本にはなく身柄引き渡しの対象とならないとして、法務省は引き渡しを拒否した。

 08年の逮捕直後に開いた会見でジャクソン刑事は、元社長のサイパン渡航情報を得て捜査を活発化させたと話していたが、実際には日本での無罪確定を受け韓国など日本以外の外国での逮捕を含むさまざまな可能性を想定し元社長逮捕へ向けた準備を始めていた。

 DNAや銃押収など新証拠はなく、88年から唯一継続して担当した刑事として既存の逮捕状に「相当の注意」を払い続けたという。

 元社長のブログサイトでサイパンへの渡航を知ると「米領内で逮捕することが最善の選択」と判断。情報漏れを恐れ日本の当局とは連絡を取らなかった。「彼に旅行してほしかった。(逮捕状執行へ向けた情報は)サイパンと米本土側だけで保持した」と話した。

 元社長は08年2月にサイパンへ旅行中に逮捕された。弁護側は日本で無罪が確定していることを理由に釈放を求めたが、ロス郡地裁は「殺人の共謀罪について日本では裁かれていない」として訴追を認めた。元社長は10月、ロスに移送された日に留置場で自殺した。

毎日新聞 2009年2月21日 東京朝刊

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