【社会】「みんなと同じ学校だね」 愛知県立高、全盲の2人初合格2009年2月21日 朝刊 愛知県立高校の推薦入試の合格発表が20日あり、ほぼ全盲の生徒2人が合格を果たした。2人は点訳した教科書を使って中学の普通学級で勉強してきた。県教委によると、全盲の生徒が県内の公立高に合格するのは初めて。「みんなと同じ高校にいけるんだ」。笑顔が広がった。 名古屋市本城中3年の中村幸太郎君(15)は鳴海高(名古屋市緑区)に合格した。「発表を見に行き、お母さんの『おめでとう』の言葉で合格が分かった。めっちゃ、うれしかった」 生まれつき光は感じるが、物は見えない。「地域の人にこの子の存在を分かってもらいたい」との両親の願いから、地元の小中学校の普通学級に通った。4歳でピアノを始め、中学ではジャズ部でドラムを担当した。「高校では勉強だけでなく吹奏楽部で頑張りたい」と声を弾ませる。 母の和美さん(42)は「高校側は初めてのケースで先生方の戸惑いもあると思う。家族として最大限のサポートをして高校生活がうまくいくよう努力したい」と話す。 東海市名和中3年の橋本育実さん(15)は阿久比高(愛知県阿久比町)に合格した。生まれつき目が不自由だが、小学校から普通学級に通う。2年生の時「普通高に進みたい」と思い、ボランティアが点訳した問題集を使って受験に備えた。 苦手なのは数学。点訳の図形や表を認識するのが難しいからだ。成果を確かめる前に合格が決まったが、「勉強したことは高校で役立つ」と前向き。 「勉強が難しくなるけれど、友達ができるのが楽しみ。今やっている吹奏楽も続けたい」と夢は膨らむ。これまで優しくしてもらった経験から、将来の夢は「学校の先生」と即答した。 同県教委などは2人の願いに応える形で、3月に実施する全日制課程の一般入試で点字受験を可能にしていたが、一足先に推薦での合格が決まった。
|