平成と年号が変わってからあっという間に20年が過ぎ去り「光陰矢のごとし」を実感しております。これも世の中の動きが以前に比べると著しく加速されているからだろうと考えています。確かに、仕事の手段としてパソコン、インターネットの比重が増すにつれ、日常がどんどん慌ただしくなってきました。
昨年末には、一般用医薬品販売制度改正に絡んで、「医薬品のネット販売」が話題になりました。制度改正に際して、最も安全な第3類を除き、インターネットでの医薬品の販売を規制する方針が打ち出されたことに、内閣府の規制改革会議とネット販売業者が異議をとなえたからです。法律改正を前提とした厚生科学審議会の検討部会から改正後の細かな規則を作るための検討会まで深く関わってきた者としては、"医薬品の安全な供給と適正使用を確保するためには「対面販売」が大前提となるべきで、インターネットによる第1類、第2類医薬品の販売は適当ではない"、というこれら会議体の結論は、現時点では間違っていないと信じています。勿論、情報通信技術は日進月歩ですから近い将来にはインターネットで「対面販売」と同等な安全性が確保できるような手段が開発されるかもしれません。そのときは、充分な検証を経てその方法を取り入れることになるでしょう。
「情報」といえば・・・ここ数年、「認定実務実習指導薬剤師養成事業」でのワークショップに参加して、第一線で医療と向き合っている薬剤師さん達と接触する機会が増えました。そこでしばしば感じているのは、これら医療現場で毎日忙しく働いている薬剤師の皆さんに、医療、薬学教育等に関して当然伝わっているべき情報が行き渡っていないことが多々ある、という事実です。日本薬剤師会は都道府県薬剤師会との情報ネットワークシステムを構築して情報交換の効率化を図っているようですが、どうも中央からの情報が第一線の現場の薬剤師に届きにくい様に見えるのは、私の勘違いでしょうか。どこかに情報の流れがブロックされる障壁があるかもしれません。一方、情報は流れてくるものを受け取っているだけでは十分ではないでしょう。いうまでもなく情報を多く持っているということは、仕事の上で絶対に有利です。今年は自ら積極的に情報を収集する努力を心がける年にしましょう。また、障壁を見つけたら突き崩しましょう。
年頭に当たり、皆様方の益々のご活躍とご健勝を祈念しております。