ソーラーハウスを普及させようと稲城市押立の高田工務店が21、28の両日、ソーラーハウスを巡るツアーを企画した。住宅建築が本業ながら、社長の高田良晃さん(48)は長年、重いシックハウス症候群に悩まされてきた。克服するため家作りを根本から見直し、自然素材を使うソーラーハウスにたどり着いた。「環境にも体にも優しいソーラーハウスの魅力を体験してほしい」と話す。【堀智行】
大学2年の時、初めてシックハウス症候群の症状が出た。突然、自宅で意識を失い入院。ゼネコンに就職したが、仕事中に2回転倒し、やむなく退職した。84年に家業を継いでからも片頭痛と吐き気に悩まされ、何度か入院した。
90年の入院中に1冊の本を手にした。自然素材を用いるドイツの住宅建築が紹介されていた。「家作りを根本から見直そう」。退院後、自然の樹木を生かした家作りの研究に取りかかった。
自然素材は体にいい一方で、湿気が多く、寒暖の差が大きい日本では、割れやすく腐りやすいという欠点もあった。またシックハウス症候群は狭い部屋にいる時に出やすかったが、部屋を広くすれば暖房費がかさむ。「吹き抜けで広い空間を確保しながら、低コストで室温を保つ方法はないか」。思いついたのが大学で学んだソーラーシステムだった。
名古屋市や関東で先駆けてソーラーハウスに取り組む同業者を回り、勉強を重ねた。その結果、昼間の太陽熱を床下に流し込んだコンクリートに蓄えることで、冬場でも広い部屋の室温を一定に保てることが分かり、92年からソーラーハウス作りに乗り出した。
高田社長の築40年の自宅も07年に改築。国産の樹木をふんだんに使った住宅で暮らし始めてから、シックハウス症候群の症状に悩まされることもなくなったという。
今回のソーラーツアーでは、高田社長の自宅のほか、これまでに施工した川崎市や多摩市のソーラーハウスを案内する。参加無料。両日とも午後0時半に高田工務店(042・377・5359)集合。
〔多摩版〕
毎日新聞 2009年2月8日 地方版