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シックハウス:減る治療施設 北里研究所病院、クリーンルームを廃止

 シックハウス症候群や化学物質過敏症治療のパイオニアとして知られる北里研究所病院(東京都港区)が20日で専門外来の診療室「クリーンルーム」を廃止し、診療態勢を大幅に縮小する。国内で専門外来がある病院は9病院あったが、既に2病院が休診・縮小しており、患者の受け入れ態勢はさらに後退する。【田村佳子、宍戸護】

 国立保健医療科学院の推計では、化学物質過敏症の成人患者は約70万人。北里研究所病院は99年、全国初の「クリーンルーム」を持つ臨床環境医学センター(化学物質過敏症外来)を開設した。

 「クリーンルーム」は化学物質を出さない特殊な建材や高性能空気清浄機で化学物質を著しく少ない状態にした部屋で、重症患者の診察には不可欠だった。3月から空気清浄機を設置した一般診察室での診療に切り替える。病院は「取材に応じられない」としているが、内部関係者は採算問題を指摘している。

 関西労災病院(兵庫県尼崎市)の専門外来は昨年10月に休診、東京労災病院(東京都大田区)も今年1月から新患受け入れを中止。北里の廃止で「クリーンルーム」があるのは、いずれも国立病院機構の相模原病院(神奈川県相模原市)▽南岡山医療センター(岡山県早島町)▽高知病院(高知市)▽福岡病院(福岡市)の4施設だけになる。

 国は昨年7月、自宅環境が原因で発症した場合、公営住宅への一時入居を認める方針を都道府県に通知。「クリーンルームまたは専門外来を設置している医療機関」の診断書提出を求めており、救済はより困難になる。

 NPO法人「化学物質過敏症支援センター」(横浜市)の広田しのぶ事務局長は「重症患者の受診は難しくなる。何らかの形でクリーンルームが各地に確保されるように要望したい」と話している。

毎日新聞 2009年2月20日 東京朝刊

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