授業参観では、香水やにおいの強い整髪料は控えて――。化学物質過敏症の人たちが学校などの公共の場で被害を受けることがないよう配慮を呼びかける動きが、全国の自治体に広がっている。患者の支援団体によると、千葉、岡山、広島の3県と21市町が、ポスターなどで啓発を進める。とはいえ、化学物質過敏症への認知度はまだ低く、自治体側には表現方法などをめぐって戸惑いもあるようだ。
「子どもによっては、保護者の整髪料や香水などに反応して息が苦しくなるなどのアレルギー症状が出るようです。鼻やのどを刺激するような整髪料や香水を控えていただくと、大変助かります」
今月初め、名古屋市瑞穂区の市立小学校が、保護者あての「学校通信」で、こんな呼びかけをした。こうした「お願い」は、初めてという。
同校は「化学物質過敏症の児童が在校しているわけではないが、近くの学校には、香料に反応してしまう児童がいると聞いている。万が一のケースを考え、保護者に配慮をお願いすることにした」と説明する。
ある保護者は「この時期は窓を閉め切り、暖房も付いているため、空気がこもりがち。授業参観のとき、香水のにおいがきついと、大人でも気持ちが悪くなることもある」と話す。
名古屋市教育委員会によると、市内の数校で、化学物質過敏症の児童と保護者、学校が、病気の原因になる化学物質をどうすれば使わないようにできるかについて話し合っているという。具体的には、改築工事の際の塗料の選び方などで意見を交わしている。同市教委の担当者は「他の病気と同じく、配慮が必要な児童として学校ごとに対応している」と話す。
一方、岐阜市は05年度から、市役所やすべての小中学校で、香料自粛のポスターを掲示している。化学物質過敏症患者を支援する団体の要望を受けて実施したという。