日本人は古来、四季の移ろいや情緒を花によって感じてきた。生け花の魅力は、生活の中に季節感を取り入れ、暮らしを豊かに演出できることだろう。
岡山市の天満屋岡山店で開催中の大華道展をのぞいた。桜、ツバキ、菜の花、スイートピーなど色とりどりの花があふれる会場は、はや春らんまんの装いだ。華やかな美の競演に、心も浮き立ってきた。
延べ千二百点以上が展示される中四国最大規模の催しとしておなじみだが、今年は本紙創刊百三十周年を記念してグレードアップ。輝く太陽をイメージした特別大作や岡山県華道連盟役員が手掛けるコーナーも加わり、見応え十分だ。
花材を巧みに組み合わせて力強さや躍動感を表現したり、器との調和で清純さや軽やかさを際立たせるなど、県内二十一流派が創意を凝らした生け花の奥深さを堪能できる。
「花を生けるということは、花に惚(ほ)れることがないとだめ。自分の心から湧(わ)きあがってくる思いがあって、はじめて相手にも伝わる」。池坊由紀・華道家元池坊次期家元は「千玄室対談集 道を拓く」の中でこう語る。自然の草木への感動が花を生ける原点なのだろう。
土、日曜日には小中学生を対象にした「生け花体験教室」も会場で開かれるという。伝統文化の魅力を若い世代にも伝えていきたい。