毒妻ですが、何か。

【夫の浮気疑惑１・２】からお読みください。

食事が終わり、帰りの車の中で夫は少し不安そうにあきらに言った。
「またあのおっさんからかかってくるかも。」
「いや、そりゃないでしょ。今日ファミレスであれだけ言って
すっきりして帰ってたし・・・」
と言うか、あきらの思惑にまんまとハマった。と言っても
過言ではない。
「だと良いけどね。」

やいっ、夫よ。良く聞け！【だと良いけどね。】じゃねーよ。
そもそも、オマエが事の発端だろ？
なんだか理不尽な怒りがこみあげてきた。
しかしこういうのって、誰が悪いんだろ？

妻の携帯を見た、スズキのおっさんなのか。
人の妻とメールなんぞしているわたしの夫なのか。
はたまた、うちの夫に恋心なんぞ抱いたおっさんの奥さんなのか。
まぁ、この３名の中で、いちばんの善人はあきらただ一人ってことで。
あははははは！←VICTORYな笑い。

翌朝は土曜日。息子もたまたま部活がオフで家族でゆっくり
朝食TIME。

その時だった。あきらの携帯が鳴った。
夫の予感は的中した。相手は紛れもなくスズキのおっさんだった。
実は、もう二度とこの人と話すことはないだろうと、電話帳に登録して
いなかったのだ。なぜ、おっさんだとわかったのかと言うと。
あの、
「もひもひぃ〜」で。

「なんでしょう？また何かありました？」
悪いけど、今度のあきらはつっけんどんも良いとこ。
かなり冷たくあしらった。

「いやぁ、最後に旦那と話がしたかったんだけど、出なかったもので。」
ホントに最後だろうな。
旦那に電話を渡した。というより、投げた。

「ハイ、ハイ、ハイ、ソウデスネ、ワカリマシタ・・・」
夫は上の空で返事をしている、と容易に察することができた。

「おっさん、なんだって？」と詰め寄るあきらに夫は、
「なんだかさ、もう二度とするんじゃねーとか、今度やったら
ただじゃ置かねーとか。なんだかなー。」
夫は半分、あきれながら言った。

そしてすかさず、またあきらの携帯に着信。
「もひもひぃ〜、奥さんですか？」
もちろんスズキのおっさん。
「私が旦那によーーーく、言い聞かせましたから。
もう、二度とこんなあやまちはしないと思いますよ。
どうか、私に免じて旦那を許してやってくださいよ。」

って、はぁ〜？
許すも何も。
おっさん、アタマの方は大丈夫か？

いや、あのね、スズキのおっさんよ。アンタはどうでも良い。
今回の騒動の中心人物、オマエの女房は今一体何をしているんだ？

「あの、今、奥さんはどうしてます？」
思い切って訪ねてみた。
「朝飯の支度してます。」あっそ。
見たまんま答えるおっさん。
「いや、そういう事ではなくってぇー、気持ちはどうなってますか？」
って事を聞いてんだよっ！←ああ、苛々する。
まだ、うちの夫に未練があるようだ。とおっさんは言う。

スズキのおっさんはさらに続けた。
「二人ともわからないようにやってくれれば、何もこんなに
うちのを責めることはなかったんですよ。」
詮索したのはオマエの方だろっ。
しかし、またここで、あきらが余計な事を言って、丸く収めたものを
また蒸し返すのは良くない。
おっさんは淋しいのだ。
ただ、ただ、淋しいだけなのだ。

「わざわざ、ありがとうございました。もう、お気をつかわないで
くださいね。」
早々に切り上げようとしたあきらに、
「そんなぁ〜、奥さ〜ん。気なんかつかってないですよ〜。」

って、バーカ！もう、いいおっさんなんだから、わかってくれよ（泣）
おっさんは孤独なのだ。
ロンリーロンリーなのだ。

おっさんはひとりぽっち。
次回、またあきらに電話があったら、ここでネタにしてやるから
来れるものなら、来てみやがれ！

あきらには何も恐いモノはないのだ。
恐いのは唯一、喋れなくなる事だけ(^^;)