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15年間、医師1人で担当 香川の受精卵取り違え事故
香川県立中央病院(高松市)で、不妊治療を受けた20歳代の女性が別の患者の受精卵を移植され、人工中絶した問題で、治療を担当した川田清弥医師(61)が、これまで約15年間にわたり、1人で体外受精の治療を担当していたことが分かった。川田医師はこの日、県庁で記者会見。「大変申し訳なかった」と謝罪した。
病院によると、川田医師は昭和54年4月に産婦人科医として勤務。平成5年から体外受精に取り組み、これまで1人で約1000例の体外受精を担当した。不妊治療のベテランで信頼も厚く、病院側も特に1人での作業を問題とせず、黙認してきたという。
受精卵を取り違えたとされる昨年9月18日も、川田医師が1人で作業をしていた。「作業台には、別の患者のものとの混同を防ぐため、1度の作業につき、1患者の検体しか置いてはならないのが決まり」(松本祐蔵病院長)だった。
しかしこの日、作業台には、20歳代の女性の受精卵が入った容器以外に、別の女性患者の受精卵が入った容器が残されていた可能性が高いという。
記者会見した川田医師は「(先に処理していた患者の)検体を片付けずに次の患者の作業に入ったことが事故を招いた。気の緩みかもしれない。厳しさが足りなかった」と説明。「(取り違えたのは)私の間違い。大変申し訳なく思っている」と深々と頭を下げた。
一方、川田医師が病院にミスの可能性があることを報告したのは10月末になってから。川田医師は、ミス届け出まで時間がかかったのは「確固たる証拠はなく、自分の頭で検証するのに時間がかかった」と説明。11月中旬になって女性の中絶手術を行った。
川田医師はまた「黙っていようと思ったこともあったが、疑念のほうが強くなった」とも話した。これまでの約1000の症例の中では、取り違えはなかったという。