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2009年2月20日

◎パンから爪楊枝 運搬、保管過程含め総点検を

 石川県内の小学校で、白山市の食品会社が納入した給食のパンからまた爪楊枝(つまよ うじ)が見つかった。同じ日に、富山市内の小学校でも同市内の業者が納入した給食パンに爪楊枝が混入しているのが判明した。爪楊枝にパン生地の付着がないことなどから製造工程での混入は考えにくく、警察は何者かが故意に混入させた疑いもあるとみているようだ。事実であれば、製造後から給食として出されるまでの過程で起きたのだろう。食材の運搬や保管方法などを含めた給食の安全性の総点検が必要ではないか。

 昨年四月、金沢市内の給食のパンに爪楊枝の混入が判明し、給食パンの使用が今年一月 下旬まで停止されていた。爪楊枝が給食用パンに混入した例はあまり聞いたことがないだけに、停止期間は九カ月間にも及んだが、ようやく再開してから一カ月もしないうちに金沢市内の二つの小学校で同じような混入があり、今回は野々市町の小学校でも見つかった。

 富山市で初めて爪楊枝が見つかったケースを含めて、故意ならば子どもを狙ったという 点で悪質である。食の安全が大きく揺れているときだけに、言いようのない薄気味悪さも感じる。

 異物混入の原因究明は時間がかかるうえに、解決に至らない場合も少なくない。中国製 ギョーザ中毒事件も発生から一年を経て未解決のままである。金沢市の場合も原因が分からぬまま、給食パンの製造元が異物混入をチェックするX線検知装置や監視カメラを導入するなどの対策を講じた。警察は捜査の網を大きく広げ、原因の特定を急いで欲しい。市教委は給食に使われる食材などの運搬、保管過程を重点的にチェックし、見直すべきは見直す必要があろう。

 爪楊枝だから、誤って口に入れてもけがをしにくい、たいした罪にはなるまいと思って いるとしたら大間違いだ。誤って飲み込んだりすれば大ごとになる。偽計業務妨害で逮捕されれば三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金が科せられる。また、民事訴訟で莫大な損害賠償を求められても不思議はない。警察や学校だけでなく、地域全体で監視の目を強めたい。

◎烏山頭を世界遺産に 金沢からエール送りたい

 台湾で、金沢出身の八田與一技師が建設に尽力した烏山頭ダムを世界遺産に登録するた めの署名活動がスタートした。台湾は国連やユネスコ(国連教育科学文化機関)に加盟しておらず、実現に向けて突破しなければならない壁は極めて厚いと予想されるが、こうした活動は、荒野を豊かな農地に変えて生活水準を向上させたいという八田技師の熱い「土木屋魂」を末永く語り継ぐための原動力になるだろう。金沢からもエールを送りたい。

 台湾大の土木や農業関係の教授らが活動の推進本部を設立し、既に台湾石川県人会やダ ムを管理する嘉南農田水利会など十六団体が賛同している。五月八日に八田技師の墓前祭が行われた後は、個人の署名集めも始める予定だ。金沢でも、要請があれば積極的に側面支援に乗り出したい。ちょうど八田技師を描いたアニメ映画「パッテンライ!!」が上映され、その業績に対する評価があらためて高まっているだけに、共感の輪が広がるだろう。

 完成当時は東洋一の規模を誇った烏山頭ダムは、地震に強い「セミハイドロリックフィ ル工法(石積み工法)」をアジアで初めて採用したことでも知られる。台湾側はダムに加え、総延長約一万六千キロに及ぶ用水網や三年ごとに稲作を行う「三年輪作法」も世界遺産申請する意向という。

 これから署名活動に並行して申請を見据えた準備が進められるのだろうが、それは、金 沢にとっては「郷土の偉人」である八田技師の業績を丹念に掘り起こし、再評価する作業でもある。それにも大いに協力していきたい。

 「城下町金沢」の世界遺産登録運動は、目標の暫定リスト入りはまだ果たせていないも のの、その過程で得たものは決して小さくはない。金沢城跡の国史跡指定など目に見える成果に加えて、城下町の貴重な遺産に対する市民の意識も、運動がスタートする前と後では大きく変わったように感じられる。烏山頭ダムの世界遺産登録を目指す活動も、いずれはそうした大きな実りをもたらしてくれると期待したい。


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