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富士山:世界遺産登録、足踏み 県が手続きを延期方針 /山梨

 ◇審査厳格化、地元反発も

 2年後の2011年に富士山の世界文化遺産登録を目指してきた県が登録手続きを延期する方針を固めた。ユネスコの審査が近年、厳しさを増していることを背景に、構成資産候補の変更など、大幅な見直しを迫られる可能性も出てきた。【田上昇、中村有花】

 県の担当者が23日、延期の方針を堀内茂・富士吉田市長に説明した。27日の県世界遺産推進協議会で正式表明する。

 県と堀内市長によると、昨年11月に元世界遺産委員会議長ら専門家が、富士山周辺を視察したのが転機だった。

 構成資産候補として富士山山体のほか、洞穴・樹型、植物、神社、登山道、湖沼、展望地など66件(山梨37件、静岡25件、共通4件)が選定されているが、この時専門家側から「文化遺産としての関連が分かりにくい」との趣旨の指摘があったという。これを受け、山梨・静岡両県で作る専門家会議「2県学術委員会」(委員長、遠山敦子・元文部科学相)が構成資産の見直しを求めたため、県は構成資産の見直しや保存管理計画作成スケジュールの修正を迫られることになった。

 ユネスコは近年、審査を厳しくして世界遺産登録の数を抑制する傾向にあるといわれる。昨年7月には岩手県の「平泉-浄土思想を基調とする文化的景観」が登録延期になっており、文化庁も資産候補の選定や価値の証明をこれまで以上詳細にするよう求めてきているという。

 現在、関連市町村は構成資産の保存管理計画と資産を保護するバッファゾーン(緩衝地帯)を策定している段階で、受け止めには温度差がある。

 このうち富士吉田市の作業が一番進んでおり、今年3月末には保存管理計画もできあがる見通しだ。

 堀内市長は「市民の理解と協力のもとに、全力投球してきた。これからも歩みを止めることはない」と、スケジュールの延期に反発している。

 一方、富士河口湖町の担当者は「もともとスケジュールに無理があった」と話す。

 横内正明知事は昨年12月26日の記者会見でスケジュールの変更はないとの見通しを示していた。しかし、ここに来て延期を決めたことについて、県関係者は「平泉の例もある。市町村の仕事も繁雑なため、静岡県と協議した上で、万全を期して推薦書の原案作りをしていくことにした」と語った。

 富士山は07年に国がユネスコに提出した「暫定リスト」に登載されている。当初の予定では、今年7月に山梨、静岡両県が保存管理計画と推薦書原案を文化庁に提出。来年1月末までに国がユネスコへ推薦書を提出し、受理された場合にユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス)の現地調査を受け、世界遺産委員会で審議されることになっていた。

毎日新聞 2009年1月24日 地方版

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