笠置 わか菜

届かない手紙

Mr. Postman

手紙というのは、どうしてここまで無防備に人の心をあぶり出し、
読む人の心を溶かしてしまうんだろう…

送り手は、一定の距離感と
「文字を介する」というのがワンクッションになって、
口に出せない秘めた気持ちを、思いもよらず綴ってしまう。
受け手は、送り手の紡いだ言葉を通して相手の心を推し量る。

郵便屋さんは、手紙やハガキだけじゃなくて、
きっと心も運んでる。

 

さて、先日手にした本は、『父と娘の往復書簡』。

父とはご存知、歌舞伎役者・松本幸四郎。
娘は、女優・松たか子。

2人が書簡形式で綴った雑誌の連載をまとめた一冊となっている。

父と娘の間で交わされる本音は、
芝居のこと、家族のこと、友のこと、生きること、死ぬこと、
そして愛すること。

手紙だからこそ打ち明けられる、正直な思いがしたためられている。

梨園という特殊な社会に生きる奇特な家族。
もちろん文面からは
煌びやかな芸の世界や華やかな交友も読み取れるが、
行間には、ありふれた市井の父娘の姿が見え隠れする。
それは華やかさの対極をなしていて、
泥臭く、照れ臭く、こそばゆく、何よりとても温かい。

 

少し羨ましくなった。

私なら、父への手紙をどんなふうに書くだろう。
また、父ならどんな言葉を贈ってくれるだろう。

残念ながら、それは「オーラの泉」にでも出て
江原さんにお願いしなくては叶わぬ話で…

天国宛ての手紙を受け付けてくれるポストがあったらいいのにと
口惜しい気持ちでゆるりゆるりとページをめくった一冊を、
今日はご紹介。

この風景見たことあります♪どこだったかなぁ?

山道さん2008年11月03日 20:48


手紙についての解説でこんなに納得させられたのは初めてです!

今日は数個の死がテーマになったブログを読んで

先日亡くなった幼なじみを想ったりしてましたが

最後にお父様との記述で涙が…(T_T)

純子さん2008年11月03日 22:25

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