岡谷市の今井竜五市長は9日の市議会全員協議会で、2013年度をめどに市立岡谷病院(同市本町4)と健康保険岡谷塩嶺病院(同市内山)を統合した新病院を建設し開院する、と発表した。10年4月に両病院の施設集約を行って経営を改善し、11年度に黒字化を達成した上で、新病院建設に着手する方針。また新病院の一般病床数を、07年7月に発表した300床程度から「250床程度」に下方修正した。
「できるだけ早期に」としていた建設時期を明らかにしたことで、停滞感のあった新病院建設の動きに弾みがつくことは必至。ただ、病院経営の数値目標や建設事業費といった財政的な裏付けが示されておらず、建設時期は流動化する可能性を含んでいる。
両病院を経営する市病院事業(塚田昌滋管理者)や市の説明だと、両病院は06年4月に経営統合したが、初年度に8800万円、07年度に2億2000万円、08年度に3億円超(見込み)の赤字が発生。11年度までの黒字化が求められる公立病院改革プランを策定する中で、「3年以内に黒字化しないと病院の存続が危うい」(今井市長)との懸念が募っていた。
このため、新病院建設時に予定した施設集約を前倒し、人件費を圧縮して効率化を図る。基本的には二つある病院をどちらかの施設に一本化する。09年6月ごろまでに集約内容をまとめ、同年度中に必要な施設改修工事を行う。集約後の病床数は、病床稼働率を踏まえて現行の491床(結核病床60床除く)から250―300床程度に縮小する。
施設集約に伴い、事務職員は半減する見通し。看護師は30人程度余剰になるが、例年の退職者数で吸収。医師・看護師以外の医療従事者は退職者の補充をせず、配置転換で対応する。現在40人いる常勤医師については「両病院が一緒になっても足りない」(病院事業)状況という。
新病院の一般病床数は、DPC(包括支払診療制度)導入に伴う入院日数の短縮や現行の病床稼働率を踏まえて算出した。診療科目は小児科や産婦人科など35科とし、循環器・呼吸器センターと糖尿病センターに特化。職員身分を非公務員にして業績に応じて給与体系を設定できる「独立行政法人化」を検討する。建設予定地は岡谷病院に隣接する旧文化センター跡地(同市本町4)。
塚田管理者は取材に対し、「(病院経営は)人件費の抑制を抜きに収支改善が望めない。施設集約で黒字化の見通しを立てて新病院建設の機運を高めたい」と述べた。今井市長は「市民病院の存続に向け、市と病院事業が一丸となった取り組みが必要不可欠だ」と話していた。