08年中に大麻取締法違反容疑で逮捕・送検された検挙人数は2778人と、統計を取り始めた1956年以降で最多だったことが19日、警察庁のまとめでわかった。検挙事件数も過去最多の3832件。検挙人数は10年間で2.5倍に膨らんでおり、大麻汚染が広がっている実態が浮き彫りとなった。
背景には、種子は規制対象になっておらず自宅の居室などで簡単に栽培できることや、「無害」「外国では合法」といった認識がある。
検挙人数は07年より507人増え、すべての年齢層で増えた。20代が最多の1516人(125人増)と全体の55%で、未成年の220人(41人増)を含めた若年層が63%を占める。
大学生への汚染が社会問題化しているが、大学生の検挙は3人減の89人にとどまった。20代に次ぐ数の30代は682人(07年比51%増)、50代も136人(同94%増)と急増した。警察庁は「あらゆる世代に浸透している」と警戒する。
容疑別でみると、大麻栽培での検挙が210人と07年より83人増え、10年前の5倍となった。栽培場所の約8割が自宅の居室や押し入れなど屋内だった。種子はインターネット上での入手が容易で、栽培方法も市販の書籍やネットに掲載されている。
同法違反容疑での検挙人数は78年に1千人台となり、94年に2千人を超えた。いったん減少したものの、03年には再び2千人台となり、これまでは06年の2288人が最多だった。
一方、覚せい剤の検挙は1万1041人と968人減った。末端価格が07年の2倍になるなど品薄のため、同庁は密売人が大麻も扱うようになっているとみている。