自宅を出る阪上善秀宝塚市長=19日午前、兵庫県宝塚市、日吉健吾撮影
兵庫県宝塚市の阪上(さかうえ)善秀市長(61)が06年4月の初当選直後、公営霊園の造成工事受注を目指す業者側から現金100万円を受領していた問題で、県警は19日、阪上市長を収賄容疑で逮捕した。捜査関係者が明らかにした。資金を提供した神戸市の経営コンサルタント会社社長の西岡榮太郎容疑者(69)と元宝塚市議の井ノ上均容疑者(64)についても贈賄容疑で逮捕した。県警は同日朝から3人に事情を聴いていた。
県警によると、阪上市長は06年春、宝塚市内の飲食店で井ノ上元市議の紹介で西岡社長と面会。市都市整備公社が進めていた「宝塚すみれ墓苑」(08年8月完成)の造成工事をめぐり、西岡社長が知り合いの中堅ゼネコンを参入させようと考えていたことを認識しながら100万円を受領した疑いがあるという。
現金授受から約半年後の06年10月に実施された一般競争入札で中堅ゼネコンは落札できず、阪上市長は翌07年1月に井ノ上元市議を介して100万円を西岡社長に返却した。この現金受領と返却について、阪上市長は自らの政治団体の収支報告書に記載していなかったという。
阪上市長は資金提供が朝日新聞の報道で発覚した先月28日の記者会見で、「後援会の政治活動資金として受け取り、自宅の机の引き出しに入れていた」と授受を認めたが、造成工事とは無関係との説明を繰り返した。返却した理由については「西岡社長から工事の話を聞いていたので、煩わしいことに巻き込まれたくないと思った」と語った。
西岡社長は朝日新聞の取材に対し、当初は「中堅ゼネコンを参入させてもらう趣旨だった」としたが、その後は「当選祝いだった」と説明を変えた。これに対し、飲食店で同席した井ノ上元市議は「中堅ゼネコンがスムーズに工事に入れるようにしてほしい、という意図が(社長に)あったと認識していた」と話している。
阪上市長は19日午前、市長室を通じて「県警から任意で事情を聴きたいとの求めを受けました。今から県警に行きます。皆さんには心配しないようにお伝えください」とする談話を出した。