ろれつが回らないだけではなかった。その進退も最後までモタモタと決断力を欠いた。
中川氏は17日夕、G7での大失態を招いた責任をとり、麻生首相に辞表を提出、受理された。
しかし、中川氏は同日昼の記者会見で「深くおわび申し上げる」と陳謝し、ひとまず辞意表明。辞任時期については、2009年度予算案と予算関連法案の衆院通過後と設定、麻生首相もこれを了承した。
当然のことながら、野党は猛反発。「直ちに辞職すべき」(民主党の輿石東参院議員会長)「腹の切り方も知らない」(同党の菅直人代表代行)など容赦ない集中砲火。さらに身内からも「即刻辞任すべき」(自民党幹部)とする声が上がった。
しかし、麻生首相は「もうろう会見」について中川氏が飲酒疑惑を否定、風邪薬の過剰摂取が原因としていることに「何も問題ない」と強調。直後、官邸を訪れた中川氏にも「大丈夫だ。必ずオレが守る」と言い切ったという。
それでも、「ショッキングな映像」(野田聖子消費者行政担当相)に対する拒否反応は、麻生首相の甘い予想を超えていた。「もうろう会見」の模様がテレビ、インターネットで繰り返し流され、自民党内にも危機感が充満。最後は国対幹部が中川氏サイドに「早期辞任」を説得した。「首相に辞表を提出した。自分が辞めたほうが国家のためになる」。ついに中川氏は辞任を決断した。
麻生内閣の閣僚辞任は中山成彬・前国土交通相(65)に次いで2人目だが、内閣の最優先課題は経済政策。そのダメージは計り知れない。
麻生首相の地元、福岡県飯塚市では同日、有力支援者が「もう支持率回復はムリ」と白旗を揚げた。農林水産省幹部からは「麻生政権はおしまい」という声も漏れた。
こうした声を当の麻生首相はどう聞くのだろう。同日夜、麻生首相は中川氏への任命責任について「私にある」と認めたが、政権への影響については「特にないと思います」と語った。