訴訟提起から1年10カ月、フジ・メディア・ホールディングス(旧フジテレビジョン)とLDH(旧ライブドア)が和解した。和解金は310億円と巨額だ。
2005年、ニッポン放送買収の手打ちとして、フジはライブドアの第三者割当増資440億円を引き受けた。しかし翌年のライブドア事件を受けて、フジはUSENの宇野康秀社長へ全保有株を売却。株価暴落で売却額は95億円だった。その後、虚偽記載のある有価証券報告書に基づいた増資であったとして、売却損に相当する345億円の損害賠償を求めていた。
LDHは堀江貴文元社長ら旧経営陣に対し、現状35億円の損害賠償訴訟を行っており、今回の和解金額を請求に追加する方針だ。
LDHはフジ以外にも、ライブドア株を買った投資家から10件、421億円分の訴訟を起こされている(うち1件は95億円の請求を認める一審判決、控訴中)。が、新株発行に応じたフジとは異なり、株式市場で購入しており事情が違うとしている。
すっかり話題に上らなくなったLDHは、どういう状況にあるのか。08年9月末時点で連結総資産の約7割、1458億円が現預金。有利子負債はわずか56億円で、超キャッシュリッチ会社だ。和解金の支払いにも困らない。
LDHの巨額な現預金は、看板だったインターネット事業で稼いだわけではない。公募増資や第三者割り当て、MSCBによって直接的に市場から1705億円を調達。株式交換で買収した会社の売却分も含むと、株を刷って2000億円超を得た計算になる。
資金の大部分を企業買収に投じたが、事件後に大半を売却して現金化した。売却損も多かったが、07年9月に売却した会計ソフト会社の弥生は大成功だった。04年末に現金と自社株式により約230億円で買収したが、金融危機の前に740億円の高値で売り抜けることに成功している。
事業面に目を転じると、08年9月中間期の売上高352億円のうち、306億円は事件前に子会社化した通販会社セシールによるもの。インターネット事業は半期で43億円と寂しいかぎりだ。
ライブドアの名も、事件も人々の記憶から薄れつつある中、巨額の現金を持ったLDHは何処へ行くのか。
(山田雄大 =週刊東洋経済)
2005年、ニッポン放送買収の手打ちとして、フジはライブドアの第三者割当増資440億円を引き受けた。しかし翌年のライブドア事件を受けて、フジはUSENの宇野康秀社長へ全保有株を売却。株価暴落で売却額は95億円だった。その後、虚偽記載のある有価証券報告書に基づいた増資であったとして、売却損に相当する345億円の損害賠償を求めていた。
LDHは堀江貴文元社長ら旧経営陣に対し、現状35億円の損害賠償訴訟を行っており、今回の和解金額を請求に追加する方針だ。
LDHはフジ以外にも、ライブドア株を買った投資家から10件、421億円分の訴訟を起こされている(うち1件は95億円の請求を認める一審判決、控訴中)。が、新株発行に応じたフジとは異なり、株式市場で購入しており事情が違うとしている。
すっかり話題に上らなくなったLDHは、どういう状況にあるのか。08年9月末時点で連結総資産の約7割、1458億円が現預金。有利子負債はわずか56億円で、超キャッシュリッチ会社だ。和解金の支払いにも困らない。
LDHの巨額な現預金は、看板だったインターネット事業で稼いだわけではない。公募増資や第三者割り当て、MSCBによって直接的に市場から1705億円を調達。株式交換で買収した会社の売却分も含むと、株を刷って2000億円超を得た計算になる。
資金の大部分を企業買収に投じたが、事件後に大半を売却して現金化した。売却損も多かったが、07年9月に売却した会計ソフト会社の弥生は大成功だった。04年末に現金と自社株式により約230億円で買収したが、金融危機の前に740億円の高値で売り抜けることに成功している。
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