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別患者の受精卵を移植した可能性で人工妊娠中絶 香川(1/2ページ)

2009年2月19日

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写真受精卵を取り違えた可能性がある作業内容についてホワイトボードを使って説明する米沢優・香川県立中央病院産婦人科主任部長=19日午後4時25分、高松市番町4丁目の香川県庁、小林一茂撮影写真香川県立中央病院=高松市番町5丁目、千代明弘撮影図   

 香川県は19日、県立中央病院(高松市)で昨年9月中旬ごろに体外受精をした不妊治療中の20代女性に対し、過って別の患者の受精卵を移植した可能性があるとして、同11月に人工妊娠中絶をした、と発表した。妊娠9週目だった。病院は女性に謝罪したが、女性とその夫は「精神的な苦痛を被った」などとして、慰謝料など約2千万円の支払いを県側に求める訴えを今月10日に高松地裁に起こしている。

 日本産科婦人科学会によると、不妊治療の際に受精卵を取り違えて別の女性の子宮に移植し、その女性が妊娠に至った例は初めて。95年に石川県の産婦人科診療所で受精卵を取り違えた例が報告されているが、この時は妊娠しなかった。

 同病院によると、別の患者の受精卵を移植された可能性がある女性は、高松市に住むAさん。Aさんは昨年4月から同病院で不妊治療を開始。産婦人科の男性担当医(61)が同9月中旬ごろ、Aさんに対し、別の女性Bさんの受精卵を間違えて移植した疑いがあるという。

 体外受精した受精卵を移植するには培養が必要で、担当医は移植前に、受精卵を顕微鏡で確認したり培養液を入れ替えたりする作業をしていた。その際、本来ならAさんの受精卵が入ったシャーレだけを作業台に置かなければならないが、事前に同じ作業をしていたBさんのシャーレも作業台に残っていたという。移植したシャーレのふたにはAさんの名前のシールが張ってあったが、ふたが入れ替わったために、BさんのシャーレをAさんのものと間違えた可能性が高いという。

 担当医は昨年10月にAさんを受診。同7日に超音波検査で妊娠を知り、同16日にも経過が順調であることを確認した。だが、過去の治療からAさんの受精卵がこの時期に妊娠可能なほどに成熟する可能性が低かったことを思い起こし、これまでの作業内容を点検した結果、入れ替えの可能性に気付いたという。

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