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アフガン、治安と干ばつ悪化 増派で反米感情 中村医師(1/2ページ)

2009年2月19日18時32分

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写真工事中の水路の写真を示して、干ばつと治安悪化にあえぐアフガンの現状を説明する中村哲医師=16日午後2時13分、福岡市中央区

 アフガニスタンで灌漑(かんがい)事業を進めるNGO「ペシャワール会」(福岡市)現地代表の中村哲医師が一時帰国し、16日に同市で会見した。昨年8月に職員の伊藤和也さん(当時31)が拉致・殺害されてからも1人で残っていた。「干ばつがひどくなり、オバマ政権のアフガン増派方針による反米感情の高まりで治安がさらに悪化した」という。食料や水確保への支援を訴えた。

 伊藤さんの事件後、アフガンにいた日本人職員7人は出国。パキスタンにいた職員も11月までに帰国した。中村医師はアフガン東部のジャララバードに残り、アフガン人職員100人や現場作業員600〜700人とともに、田畑を復活させるための水路工事にあたっている。

 中村医師によると、00年から続く干ばつで川の水位は低下している。対策として03年に着工した用水路は、全長23・6キロのうち20キロが完成。緑が復活した地域には難民化していた農民約20万人が戻った。伊藤さんが進めていたサツマイモ栽培も住民による実行段階に移っているという。

 長老たちの提案で銃で武装した住民が常に5人で中村医師を警備し、水路もパトロールするようになった。春には用水路ほとりに作業員とその家族約千人が住む村を造り、補修を半永久的にできるようにするという。「いつ本格的な戦闘が起こるかわからないが、それまでに水路を完成させる。私もアフガンの人たちの命も大切」と同医師。

 現地では反米感情がより一層高まってきたという。

 米軍が加わる軍民一体の「地域復興チーム」(PRT)が整備した川の取水口が壊れ、ペシャワール会が1月に補修に行くと、現場に埋められていたずだ袋から、銃撃でぼろぼろになったコーラン数冊が見つかった。「米軍がコーランを射撃の的にしているといううわさは前からあった。日本人にとっては神社のご神体のようなもの」。その地域では米軍を襲撃する事件が増えているという。

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