最近の若者事情をテーマにした記事「草食男子と肉食女子」(1月21日)に対し、「随分と女性に都合のいい内容ですね」との批判が寄せられた。女性が男性にがっつくのは、男社会の中で経済的自立が難しいのが原因と分析したからだ。「女性優遇・女尊男卑」と今の日本社会を表現するその投稿をきっかけに、男性の言い分を考えてみた。【中川紗矢子】
「今のところ非婚主義の40歳手前男」と名乗る投稿者に会った。横浜市在住で、東京都内でメディア関係の仕事をする男性(39)は、鋭い女性批判を展開する文面とは違い、静かで誠実そうな人だった。
男性は、小学校低学年のころ、自分に対する親の態度が姉妹と違うことについて「不平等じゃないか」と訴えたところ、母親に「男はそんなことを言うな」としかられたのを今も覚えている。小学校高学年になると、女子児童の方が体が大きくても、やられたことにやり返すと「女に対して何だ」と怒られ、理不尽な印象を受けた。
大人になると「女性専用」「女性のための」と銘打ったサービスや商品ばかりだということが気になった。メディアでの表現も、女性を持ち上げ、男性を蔑視(べっし)するものがほとんどだと感じる。
「男の苦労には全く目が向けられず、女だけが注目されている。かつては、何となく男が偉いという雰囲気があったからそれで済まされた。今は男優位でなくなったのに、男ばかりをバカにする表現がまかり通っている」と話す。
指摘を受けて、テレビなどの表現を調べた。夫婦をテーマにしたドラマのプロデューサーのコメントに「夫を調教したい妻たち」とあったり、本のタイトルに「夫のしつけ」といった言葉が使われていた。また、テレビコマーシャルが「男はにおう」との言葉で不潔さを指摘したり、電車のマナーポスターで悪者として描かれているのも男性だ。
男性は「反対に、女性に対して『調教』などの言葉を使ったら即アウト、作家生命は絶たれますよ」と指摘する。
毎日新聞 2009年2月19日 東京夕刊