北九州市立病院の名ばかり管理職問題で、北九州東労働基準監督署が「名ばかり部長」の医師への残業代の不払い分について、過去2年間にさかのぼって支払うよう市側に文書で追加指導していたことが19日、分かった。市は4月から支払う予定の残業代を年間4億円と見積もっており、指導に従えば新たに巨額の負担が発生することになる。
市病院局によると、労基署からの是正勧告を受け、今月13日に是正報告書を提出した際、労基署から「是正勧告の補足」として文書を手渡されたという。市は「さかのぼって支払うかどうか検討中」としており、4月20日までにあらためて対応策を回答する方針。
市立4病院で行政職の課長に当たる「部長」の肩書を持つ医師125人はこれまで、管理職とみなされて残業代を支払われておらず、労基署から是正勧告を受けた。
市は12日、残業代の支払いや新たな手当創設による総額8億8000万円の処遇改善策を発表。その際、過去の不払い分の支払いについて「これまで管理職の位置付けで手当を払ってきた」と否定的な見方を示している。
市立病院の事業会計は2009年度末、約6億8700万円の資金不足に陥る見通しで、初めて「赤字予算案」を編成しており、今回の追加指導でさらに難しい対応を迫られることになる。
=2009/02/19付 西日本新聞夕刊=