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右派躍進で過半数確実、和平停滞か イスラエル総選挙(2/4ページ)

2009年2月12日3時12分

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写真テルアビブの選挙本部で11日、支持者に応えるリクード党首のネタニヤフ元首相=AP

写真テルアビブで、支持者に応えるカディマ党首のリブニ外相=AP

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 右派が躍進した背景には、世論の右傾化がある。140人を超す兵士や市民を失った06年のレバノン紛争や、パレスチナ自治区ガザからのロケット弾攻撃。国民は「和平よりも治安」を最優先にするようになった。

 テルアビブ大学のバルタル教授(政治心理学)によると、イスラエル国民の4割は自らを右派に分類する。「ナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の記憶があり、ロケット弾攻撃やイランの核疑惑に過剰反応してしまう」

 一方、パレスチナとの「2国家共存」を目指すカディマは、当初の劣勢との予想を覆して善戦した形だ。有力紙ハアレツのエルダール論説委員は「無党派票がリブニ氏に集まった。ネタニヤフ氏やリーバーマン氏への警戒心が働いたのだろう」と語る。

■連立政権下の停滞必至 

 イスラエルでは48年の建国以来、単独で過半数の議席を確保できた政党がない。今回もカディマが仮に第1党を維持できたとしても、右派が過半数を押さえた状況では連立工作は難航必至だ。

 政権を取るには、聖地エルサレムやヨルダン川西岸の占領終結に反対する右派を取り込まなければならない。リクードか「我が家」との連立が必要となる。

 キングメーカーの地位を手に入れた「我が家」のリーバーマン党首は11日の演説で「右派連立に加わるのが普通だ」と述べつつ、カディマと組む可能性を排除しなかった。だが、ガザを支配するイスラム過激派ハマスの崩壊を求め、停戦に反対する姿勢を表明した。

 右派陣営の躍進を背に、ネタニヤフ元首相も連立政権樹立に積極的だ。元首相は選挙戦で、リーバーマン党首を国防相には任命しない意向だと報じられたが、背に腹は代えられず国防相に据えた場合、ガザ停戦の長期化は望み薄となりそうだ。核開発疑惑が持たれているイランへの空爆強行も懸念される。

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