18日に発表された県の2009年度当初予算案には弘前大学が10年7月、医学部付属病院敷地内に開設を目指す高度救命救急センター整備関連で、補助金5億円が計上された。県は津軽圏域の救急体制充実と、3次被ばく医療を担う付属病院の機能拡充のため、新外来棟屋上へのヘリポート建設、同センターの緊急被ばく医療関連機器の整備を支援する。しかし、同センターは厳しい財政運営を強いられるとの見方があり、周辺市町村の運営費支援の可否などが課題として残っている。
弘大の高度救命救急センターは県保健医療計画に盛り込まれており、県は昨年12月、同大に設置を要請。大学側も要請を受諾し、整備費は国の09年度予算案で認められた。総事業費は約27億円が見込まれ、4月に着工を予定する。付属病院側はヘリポート工期について、今のところ「センター開設に合わせる」とするにとどめている。
三村申吾知事は予算発表の会見で、弘前市の2次救急輪番制への参加病院が一時期に比べて減少したことに触れ「2次救急を守るためにも(津軽圏域に)3次救急が必要」と同センター整備の意義を強調県は「本県が原子力施設立地県であることや、県地域防災計画上の弘大の位置付け(3次被ばく医療機関)を勘案すれば、被ばく医療に着目した財政支援をしてしかるべき」とした一方付属病院の花田勝美院長は「県が苦しい財政事情の中で計上してくれたことに感謝する」と述べヘリポート整備が県内3カ所となる救命救急センター(付属病院県立中央病院、八戸市立市民病院)の連携強化につながるとの見解を示した。
同センター運営をめぐっては、先例から見て年間1億円余の負債が生じるとも見込まれており、運営費支援が大きな課題。県は「受益者である周辺市町村が検討すべき」とし、花田院長も「市町村の支援が欠かせない」と理解を求めている。
【写真説明】弘前大学付属病院敷地内の高度救命救急センター建設予定地(中央奥、クレーンの辺り)