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2009-02-18

[]The Best American Comics 2008 The Best American Comics 2008 - Economics Lovers Live を含むブックマーク はてなブックマーク - The Best American Comics 2008 - Economics Lovers Live

 2007年版に続き、今年も購入。これもid:boxmanさんの某研究会での報告対策 笑。先に紹介したアンソロジーFLIGHTの第5巻に比べると、こちらの方は社会的な切り口を持った作品を多く収録している。いわゆる「物語」調の作品が多い。そのためアメリカン・コミックスの欠点だと僕が思っている文章量の多さが禍して、なかなか読むのに難渋する(字が小さくこまこましている)。ただし注目すべき作品(もしくはその一部抜粋、抜粋の仕方も工夫あり)が多く収録されているので、FLIGHT同様に毎号手にいれておくと有益。これに日本で発行されているフランスのマンガ(BD)を紹介した『ユーロマンガ』を購入しておけば、この三冊で日本と異なる米国、フランスのマンガについて何かしらの展望を得ることができるように思われる。

The Best American Comics 2008 (Best American Comics)

The Best American Comics 2008 (Best American Comics)

 ほかに、これまた「対策」用として 笑)、『KINO』の「21世紀のマンガ」特集をいまさら購入。でもこれはなかなか便利で面白いと思うけどね。

[]今後注目される21世紀の経済学者(英:エコノミスト誌より) 今後注目される21世紀の経済学者(英:エコノミスト誌より) - Economics Lovers Live を含むブックマーク はてなブックマーク - 今後注目される21世紀の経済学者(英:エコノミスト誌より) - Economics Lovers Live

 読み落としていた面白い記事。『クーリエ・ジャポン』の山形さんの紹介で気がつく。

International bright young things

http://www.economist.com/finance/displaystory.cfm?story_id=12851150

日本語での紹介は以下のブログで書かれていますね。

http://blog.goo.ne.jp/kammy_january/e/abc1d4fca66fd819e4b4fd6093d6d53a

http://blog.goo.ne.jp/kammy_january/e/f79cb115fcf8a5415ab1467f4d0cd179

上記ブログで簡潔に説明されていますが、Ivan Werningの業績(だけというわけでもないですが)、やはり生まれてくる家族の性格や環境が、その子どもがどのような性向やその後の経済的環境に大きく影響しているようです。

 

 最近、見つけたのですが、大竹文雄さんのブログでも推奨されている不完全労働市場の基本テキストを書いた共著者のひとりJan C. van Ours の最新の論文Children reading fiction books because they want to

)でも、OECD18カ国の15歳の人たちを対象とした調査で、少年の方が少女よりもコミックをよく読み、少女の方がフィックション(小説とか)をよく読んでいる。そしてコミックをよく読んでもそれはフィックションを読むことにはつながらないことが明らかにされています。僕はどうも異常値のようですが(笑)。


 さらに同研究は、読書を好む子どもを生み出す要因として、親の教育水準、家族構成、そして家にある本の数やテレビの台数に注目しています。そしてこの研究は、親の教育水準が高いほど読書好き、本が家に多いほど読書好き、テレビが少ないほど読書好きであり、政府の介入(例えば日本でいえば夏休みの読書感想文コンクールとか青少年のための読書推進政策みたいなもの)はほとんど意味をなさず、むしろ家族環境が重要であることを示唆しています。そして子どもの周りに本が多くあり、テレビの台数はせいぜい1台であることが読書好きな子どもが育つコツであるとしています*1


 上にも書きましたが、マンガで読書好きになる道がひらいた僕としては寂しい実証結果ですが(笑 先のIvan Werningの業績とも関連させると、今般の長期停滞が親の世代の困窮ばかりでなく、子どもの世代の困窮(読書水準の低下はその副次的産物)を生み出す可能性のひとつがわかるかと思います。つまりIvan Werningの業績ともリンクすると思いますが、適切なマクロ経済政策とそしてある種の再分配政策が世代にまたがる貧困効果を緩和することが示されているのかと思います。


[]与謝野大臣、財務大臣も兼任 与謝野大臣、財務大臣も兼任 - Economics Lovers Live を含むブックマーク はてなブックマーク - 与謝野大臣、財務大臣も兼任 - Economics Lovers Live

 素朴に思うけれど、国会の会期中で、しかも主要経済閣僚のポストを兼任できるなんて、本当にお気楽というか、大臣別にいてもいなくてもどうでもいいほどの存在なのか、いったいこの政権は……orz


 まるで中小企業独裁的な経営者がダダこねてたり理不尽なことをしているのを放任しているような感じ。本人は景気回復大事といってるけれども、もう誰も信じてない。でもとめられない、という光景か…

*1:ただ注意すべきは、この研究では小説を多くよむ読む子どもが、必ずしも将来高い学歴、収入の多い職業に到達するかどうかまではわからないことですね

yutakashinoyutakashino 2009/02/18 21:26 ”Children reading fiction books because they want to"の結果の解釈について少し誤解があるようなので指摘いたします。

ディスカッションペーパーではテレビの台数と物語またはマンガ読みの子供の数に関して、ロジットと2変量プロビットで回帰分析しています。この分析では説明変数であるテレビの台数について「2台」および「それ以上」という階級を利用しています。そしてその結果は、2台より多くのテレビもつ家庭でも、2台持つ家庭でも回帰係数は有意な負の係数である、というものです。ですから、「せいぜい」1台のほうが2台以上のテレビを持つ家庭よりも物語を読む子供が多いだろうということで、テレビの台数が1台であることはこの分析での"optimal"ではあるが、0台であることよりも最適であるかどうかは言えない、ということです。

あと、「コミックをよく読んでもそれはフィックションを読むことにはつながらない」ではなく、「マンガ読みは、物語をよまない」ことはない、ということです。つまり、「マンガを良く読む子は、物語を良く読む子である」かもしれない、です。

むしろこの論文で僕が面白いと思ったのは、Table 2の結果からわかる、父親の学歴が高いほど娘がマンガを読む傾向があり(まあ回帰係数0.02ですが)、母親の学歴が高いと息子はマンガも物語も読む傾向にあるという部分です。あと、家に本があればあるだけ子供も物語を読むようになるのかという点について、ある本の数を超えると収穫逓減の効果があるようだ、という部分も面白いとおもいました。

nao1997nao1997 2009/02/18 21:35 総理は馬鹿か???

tanakahidetomitanakahidetomi 2009/02/18 21:50 すみませんが、誤解はないと思います。端にその論文を厳密に紹介するか、まあ、僕の意図として面白く紹介するかの差でしかないでしょう。その差でしかないため、あなたが僕の誤解と書いたことはそのまま僕のエントリーでも書かれていますし、あなたの論文の誤読もあるようです。

<テレビの台数が1台であることはこの分析での"optimal"ではあるが、0台であることよりも最適であるかどうかは言えない、ということです。>

これは別に僕の書いた「テレビの台数は1台であることが読書好きな子どもが育つコツであるとしています」と矛盾しませんし、論文の政策提言そのままです。

<、「コミックをよく読んでもそれはフィックションを読むことにはつながらない」ではなく、「マンガ読みは、物語をよまない」ことはない、ということです。つまり、「マンガを良く読む子は、物語を良く読む子である」かもしれない>

それはあなたの誤読です。「マンガ読みは物語りを<まったく>読まないことはない」ではありますが、そこからあなたのいう「マンガをよく読む子は、物語りをよく読む子である」なとという話はでてきません。もしこれがこの論文で実証されているならば、マンガを読むことをすすめる提案がされているはずです。

<むしろこの論文で僕が面白いと思ったのは、Table 2の結果からわかる、父親の学歴が高いほど娘がマンガを読む傾向があり(まあ回帰係数0.02ですが)、母親の学歴が高いと息子はマンガも物語も読む傾向にあるという部分です。あと、家に本があればあるだけ子供も物語を読むようになるのかという点について、ある本の数を超えると収穫逓減の効果があるようだ、という部分も面白いとおもいました。>

「むしろ」とありますが、エントリーをみればわかりますように、僕も親の学歴、本の数についての効果に注目していますので、「むしろ」ではなく、「僕も同じように」があなたのコメントとしては正確ではないでしょうか?

tanakahidetomitanakahidetomi 2009/02/18 21:53 >nao1997さん。このコメントも(趣旨はいたいほどわかりますがw)できれば批判する理由も簡潔に書いていただいたほうがいいでしょう。もうひとつの「インフレ」というだけのコメントは意味が不明なので失礼ですが削除しました。

yutakashinoyutakashino 2009/02/18 23:09 あの別に糾弾しているのではありませんので…。

一番目の論点について:論文ではテレビ「1台がコツ」であるなんて言ってないんです。回帰分析のデータ上の階級分けから出てくる制限から、"at most"1台が"optimal"であるといっているんです。「0台がコツ」であることの可能性があるのです。

二番目の論点について:Table 2をきちんと読んでいます?女子に関しては「マンガを良く読む子と、物語を良く読む子には正の相関がある」なんですよ。女子のマンガを良く読む変数と物語を良く読む変数の間の回帰係数が正でかつp値が2.2(統計的に有意)なんですから。

最後のご指摘の点については、そのとおりです。僕は田中さんの意見には基本的に同意しています。「むしろ」と使ったのは、著者がConclusionで指摘することより、こっちの方が面白いと個人的に感じたことを強調するためです。紛らわしくて失礼しました。

tanakahidetomitanakahidetomi 2009/02/19 00:19 「糾弾」というよりも、あなたは厳密な読みを意図していながら、こちらの要約の意図を正確にフォローされてないのではないか、と思います。

一番目の点ですが、「せいぜい」を僕の文章に足しましょうか? 英語要旨を読めばわかることですし、0台が望ましい可能性を排除しているつもりはないのですが。ただ0台がコツ、と書くとそれはそれで言いすぎではないでしょうか?

二番目ですが、ええ、読んでますが、僕は「マンガ読みはまったく物語を読まないわけではない」と書きました。しかしそこからあなたのいうような「「マンガをよく読む子は、物語りをよく読む子である」などという帰結はでてきません。なぜならすでにあなた自身が書いてますが、女子にはいえますが男子にはいえません。なので一般化はできません。しかもそもそも物語をよく読んでいる女子はマンガを男子ほどよく読んでわけではありません。ですのでこの論文の帰結では、マンガを読むことは物語を読むことに影響しないということになります(あなたの解釈だと反対になってしまいますね)。逆にいえばマンガばかり読んでも特に物語を読まなくなるわけでもない、ということも明らかです。おそらくあなたがいいたいのはこの僕がいま書いた「逆にいえば」を指摘されたいのではないでしょうか? それは僕の「誤解」というよりもあなたが「補足」すればいいだけでしょうね。

tanakahidetomitanakahidetomi 2009/02/19 00:32 むしろ僕のエントリーでまずいのはw 政府の読書おススメ介入を否定的に書いたことでしょう。別にそれはそれで意義がある可能性があるかもですね。