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静岡県、医師不足解消へ大盤振る舞い 予算、前年度比2・8倍増
地方を直撃する医師不足を解消し、医療の地域間格差を緩和しようと、静岡県は新年度、さまざまな医師確保対策を講じる。
県内の医師不足は深刻だ。厚生労働省の調べによると、人口10万人当たりの医師数は169・9人で、全国ワースト4位(平成18年現在)。さらに県内での地域格差も大きく、中東遠の医師は全国平均の半数ほどで、伊豆南部には重症患者に対応できる医療機関がない。このような医師や医療機関の偏在をなくし、地域医療の充実を図るのが急務だとして、県は新年度予算で医師確保対策費として5億6600万円を確保した。財政状況が極めて厳しい中、前年度比で2・8倍という大盤振る舞いだ。
具体的には、現在10人分の医学生への奨学金(月額20万円)を、一気に100人分まで拡大する。浜松医大や慶応大のように県内に多くの人材を送り出している大学には学校別の特別枠を設け、医師の増加につなげたい考えだ。また、出産や育児のため短時間勤務する医師がいる病院には、代替要員の人件費を助成。とりわけ、人手不足が深刻な救急医療や産科を支援するため、救急勤務医手当と分娩(ぶんべん)手当に助成する。
医療充実に欠かせない看護職員の確保にも、前年度比18%増の2億円をかけ、有資格者の再就職支援や病院内保育所の運営費助成といった施策を推進する。
救急救命センターへのアクセスが悪い伊豆南部への対策には、新たにドクターヘリの夜間運航推進検討会を設置し、24時間稼働が可能かどうかを調査する。
県医療室は「こうした試みで医療従事者の負担を軽くして働きやすい環境を整え、地域医療の充実につなげたい」と話している。