7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)共同声明の要旨
[ローマ 14日 ロイター] ローマで13、14日に開かれた7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の共同声明の要旨は以下の通り。
G7の財務相・中央銀行総裁は、引き続く深刻な世界経済の減速と金融の混乱の中で本日会合した。世界経済と金融市場の安定化は依然としてわれわれの最優先課題である。われわれは、これらの課題に対処するため共同して例外的な措置をとってきたし、成長と雇用を支持し、金融セクターを強化するため、あらゆる政策手段を用いて協働するとのコミットメントをあらためて確認する。
われわれがそれぞれに講じてきた金融上の施策は、変動が極端に大きくなっている金融市場の安定化を助けつつある。経済に正常な信用の流れを取り戻すことを目的としたこれらの施策は、必要に応じ、以下の3つのアプローチに沿ったものとなっている。
1)伝統的なおよび新設の仕組みやファシリティーを通じた流動性および資金供給の向
上。
2)権限ある当局の査定に基づく個々の金融機関の資本基盤の強化。
3)不良資産の秩序ある処理の促進。
G7は、世界の金融システムへの完全な信認を再構築するために必要となればあらゆる
追加的措置をとることにコミットする。われわれは、望ましくない波及や歪みを避けるため引き続き協働し、また協力する。
当初は金融の混乱であったものが、今や実体経済をも捉え、世界中に広がっている。厳しい減速は、既に大規模な雇用喪失をもたらしており、2009年の大半を通じ続くことが見込まれる。G7の政策対応は、迅速かつ力強いものであったし、その効果は時間の経過とともに完全に発現する。政策金利は非常に低い水準まで引き下げられており、必要に応じ非伝統的な金融政策上の行動がとられている。財政措置は断固たるものであった。自動安定化機能の十全な発揮に加え、大規模な追加的財政刺激策が実施されつつある。各国の対策をあわせて実施することにより効果が増大する。われわれの財政政策は、その効果を増進させる以下の原則にのっとっている。
・前倒しおよび迅速な実施。
・国内需要と雇用創出を刺激し、最も脆弱な人々を支援するための、歳出と税制措置の
適切な組み合わせを含むこと。
・重点を定めた投資により構造的弱点に対処し、長期的な成長見通しを向上させること。
・中期的な財政の持続可能性と整合的であり、おおむね一時的な措置によること。
また、われわれは、G7以外の世界中の国々の迅速なマクロ経済上の対応を歓迎し、評価する。特に、われわれは、中国の財政措置およびより柔軟な為替レートへの移行に対する継続したコミットメントを歓迎する。これらは、実効ベースでの人民元の継続した増価をもたらすとともに、中国経済および世界経済全体のより均衡の取れた成長の促進に寄与する。
われわれは、強固かつ安定した国際金融システムがわれわれの共通の利益であることを再確認する。為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済および金融の安定に対して悪影響を与える。われわれは、引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する。
開かれた世界貿易・投資システムは、世界の繁栄に不可欠である。G7は、経済の減速を加速させるだけの保護主義的な施策を回避し、新たな貿易障壁の導入を控え、ドーハ・ラウンドの迅速かつ野心的な妥結に向けて取り組むことに、引き続きコミットする。G7はまた、新興国・途上国による信用と貿易金融へのアクセスを支援し、民間の資本フローを再開させる必要性を強調するとともに、国際開発金融機関を通じるものを含め、この支援を強化するための方策を緊急に追求することにコミットする。
今回の危機は、国際金融システムの基本的な弱さと喫緊の改革の必要性を明らかにした。われわれは、現在の危機に効果的かつ柔軟に対応するため、追加的なリソースを与えられ、改革されたIMFが必要不可欠であることに合意する。これに関連して、われわれは、日本政府がIMFとの間で貸付の合意に達したことを歓迎する。IMFと拡大された金融安定化フォーラム(FSF)との協働の強化は、マクロ経済─金融リスクの適時かつ信頼に足る評価方法の開発のために特に重要である。われわれはまた、世界銀行および地域開発金融機関が、そのリソースを有効に利用して、危機により影響を受ける新興国・途上国への資金供給に貢献することを歓迎する。
G7の財務相は、その代理たちに対し、国際的な経済・金融活動の適切性、健全性および透明性に関する共通の合意された原則と基準の作成について、他のパートナーとも協議しつつ、今後4カ月のうちに進ちょく報告を準備するよう要請した。
G7は、プロシクリカリティの抑制、規制の範囲、報酬慣行、市場の健全性およびリスク管理を含む、規制枠組みの改革を加速するべく、国際的な場においてパートナーと引き続き協働していくことにコミットする。
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