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ガザ:停戦1カ月 険しい復興の前途

 【ガザ市・林哲平】イスラム原理主義組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区で、イスラエル軍とハマスが「停戦」を宣言してから18日(日本時間)で1カ月を迎えた。

 同地区では、3週間に及ぶイスラエル軍による空爆と地上侵攻で多数の子どもを含む1300人以上のパレスチナ人が死亡、数千戸の家屋が破壊された。一部では食糧や生活物資が少しずつ入り始めているが、イスラエルによる境界封鎖の影響で建設用資材などは行き渡らず、復興の前途は険しい。

 ◇調停なお迷走

 【ガザ市(パレスチナ自治区ガザ地区)前田英司】パレスチナ自治区ガザ情勢は1月18日の「停戦」から1カ月が過ぎた。イスラエルと、ガザを支配するイスラム原理主義組織ハマスの本格停戦を目指して、エジプトが調停を続けているが、18日になってイスラエルは、06年夏からガザに拉致・拘束されているイスラエル兵が解放されない限り、ハマスが停戦条件に挙げるガザ境界の検問所再開には応じないと決定。合意間近とされながら、調停作業は迷走している。

 イスラエルは18日の治安閣議で、拉致兵士の解放と本格停戦の行方を関連付ける立場を明確にした。ハマスはこれまで、兵士解放問題でも水面下の交渉に応じており、イスラエル兵解放と引き換えにイスラエルが収監するパレスチナ囚人約1400人の釈放を要求。イスラエルは数百人規模の釈放を検討中とされていた。

 ガザ情勢は先月18日、イスラエルとハマスがそれぞれ一方的に攻撃停止を宣言し「停戦」に入った。調停役のエジプトは、停戦の本格化を目指して仲介を開始。イスラエル、ハマスとも前向きな姿勢を示してきたが、イスラエルは「拉致問題の解決が先決。その後でのみ(ハマスが求める)ガザ境界再開などの協議に応じる」(オルメルト首相)とハードルを高めた。

 総選挙を終えたイスラエルにとって、情勢が一応落ち着いている現状で、ハマスとの本格停戦を急ぐ必要はない。政権交代を控えて、むしろ懸案の拉致問題の進展を迫られている状況だ。一方、ハマスは、兵士が解放されても「総選挙で右派勢力が台頭したイスラエルが『約束』を守る保証はない」と警戒を強めている。

毎日新聞 2009年2月18日 20時14分(最終更新 2月18日 21時45分)

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