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「サハリン2」稼働、露から日本へ初の液化天然ガス (1/2ページ)
三井物産、三菱商事が出資するロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の液化天然ガス(LNG)プラントがサハリン(樺太)南端のプリゴロドノエに完成し、18日、メドベージェフ露大統領と麻生太郎首相も出席して稼働式典が行われた。来月中旬には日本向けに初のLNGが出荷される見通しで、日本のLNG調達先の多角化につながる。一方、ロシアにとっても日本や韓国などアジア地域に供給先を拡大する足掛かりを得る。
インタファクス通信によると、麻生太郎首相は式典で「ロシアがアジア太平洋地域における建設的なパートナーとなる歴史が始まった」などと述べ、サハリンからLNGを調達する意義を強調。メドベージェフ大統領も「この事業は天然資源の世界的な供給者としてのロシアの地位を強化するものだ」とあいさつした。
世界最大の天然ガス埋蔵量を誇るロシアにとって、サハリン2稼働の意義は極めて大きい。これまでのガス供給先はパイプラインによる欧州向けがほとんどだが、サハリン2によってアジア太平洋地域へと輸出先を広げられる。また、シンクタンク「ルスエナジー」のクルチヒン氏は「ロシアがLNG技術を導入したことは将来の天然ガス開発につながる。サハリン2には、経済危機の中でも外資との協力が順調に進んでいることを示す政治的狙いもある」と指摘する。
一方、日本にとっては、エネルギー安全保障の強化につながる。サハリン2の生産能力はピーク時で年間960万トン。このうち6割弱が日本向けに供給される。東京電力など電力、ガス9社が20年前後の長期契約を結んでおり、日本の年間LNG輸入量の約7%を調達できるようになる。