情報・人材サービス会社のリクルート(東京都中央区)が、人材派遣最大手スタッフサービス・ホールディングス(東京都千代田区)の買収に向け最終調整に入ったのは、優秀な派遣人材を獲得し、生き残りを図るためには規模拡大が欠かせないと判断したためだ。業界内の競争は激しく、今回の買収が新たな再編の呼び水となる可能性がある。(越前谷知子)
リクルートは求人広告事業で国内最大手。特に強みを持つインターネット広告を通じて派遣人材や派遣先企業を増やすなど、グループ内の他の事業との相乗効果を図るとみられる。
人材派遣業界は、終身雇用制の崩壊や、派遣対象の業種を段階的に広げる規制緩和により急成長し、現在の市場規模は約4兆円に達している。
外資も含めた新規参入などが相次ぎ、派遣会社数は大手、中堅だけで100社を超えるなど競争は激化。2004年施行の改正労働者派遣法で製造業も対象業種となったため、請負業者も大量参入し、現在の総事業所数は約3万に上る。
一方、企業がここ数年、団塊世代の大量退職や少子化の進展で正社員採用を増やし始めたことで、各社の人材集めが難しくなり、業績の伸びは鈍化し始めた。
パソナグループは今年6月から一部の派遣人材への交通費の支給を開始し、テンプスタッフも新しい福利厚生制度を導入するなど、人材確保のための費用が増えている。
テンプスタッフは2007年3月期連結決算では、本業のもうけを示す営業利益が前年比13・6%増だったのが、08年3月期は7・2%増にとどまる見通しだ。