事件・事故・裁判

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

不在地主農地:20万ヘクタールに 農地法見直す方針

 農家の高齢化が急速に進む中、相続などで所有者が地元にいない「不在地主農地」が、少なくとも東京都の面積に匹敵する20万ヘクタールに上ることが、市町村農業委員会の上部組織・全国農業会議所による初の全国調査で分かった。農業委の約半数は現状を把握しておらず、実際には50万ヘクタールに上る可能性がある。不在地主農地は耕作放棄につながったり農地集約など有効利用の障害になることから、農林水産省はこうした事態を防ぐため農地法を見直す方針だ。

 調査は07年、農業会議所が06年12月末現在の状況を全国の農業委1844団体に尋ね、1397団体が回答した。農業委は、管内の農家ごとに農地面積や利用状況を記載した農地基本台帳を作成し、耕作放棄への指導などを行っている。しかし、相続については所有権移転などと違い農地法上の届け出義務がないため、指導対象となる所有者が不明確になるなどのケースが多発しているという。

 管内の不在地主農地の面積を答えたのは730団体で計20万624ヘクタール。1団体平均274.8ヘクタールだった。残り667団体は面積を把握していないが、平均から推計すれば全国で約50万ヘクタールに達し、全国の農地約400万ヘクタールの約8分の1が不在地主農地の可能性がある。農業会議所は「そうした推定も成り立つが、正確な実態は分からない」と話す。

 不在地主数は、回答した719団体で計約42万8000人。1団体平均595.7人で、全国では約100万人と推計される。地主が転居して農地に通う場合も不在地主にカウントされるが、大部分は相続で発生しているという。

 耕作放棄されている不在地主農地の面積は1団体平均43.3ヘクタール。推計すれば、実際には約8万ヘクタールが耕作放棄地となっている可能性がある。

 また、他の農家が借りようとしたところ、不在地主農地で借りられなかった事例が2割以上の311団体で起きていた。借りて耕作していた農地が相続を境に借りられなくなった事例も189団体であった。

 農水省は今国会へ提出する予定の農地法改正案に、相続などで農地を取得した場合は農業委員会への届け出を義務づける条文を盛り込む方針だ。【井上英介】

毎日新聞 2009年2月16日 2時30分

事件・事故・裁判 アーカイブ一覧

 

特集企画

おすすめ情報