「もう衆院選戦えぬ」 東北の与党、忍耐は限界点

 中川昭一財務相兼金融担当相の「もうろう記者会見」と、17日の引責辞任劇。東北の自民党関係者は「恥ずべき姿だった」と語り、「もう次期衆院選は戦えない」と音を上げた。既に危険水域を突破したともいわれる低支持率の麻生政権。必死に支える地方組織の忍耐も限界点に達した。

 中川氏の会見を、繰り返しテレビで見た宮城県連の柏佑整幹事長。「緊張感がなさ過ぎた。世界に日本をアピールする場で、責任の重さを自覚していなかったのか」と批判した。
 岩手県連幹部も「見るに堪えない映像だ。中川氏は酒にだらしないと聞いていたが、よりによって国際的場面とは…」とあきれ顔で語った。

 政権の最優先課題である経済対策の責任者の辞任は、麻生内閣を一層苦境に追い込んだ。「衆院選は極めて厳しい情勢なのに、駄目押しだ」と天を仰いだ福島県議は「党本部がよほどのウルトラCを考えないといけない」。
 「小泉純一郎元首相の発言による混乱に続き、またもや自民党が醜態をさらした」と頭を抱えた山形県連幹部は「党を維持できるのか」とつぶやいた。

 秋田県連は、4月に知事選を控えている。鶴田有司総務会長は「影響は少なくない。逆風が強まることを覚悟しなければ」と、足を引っ張る党本部に恨み節。
 青森県連は、22日に青森市で開くセミナーに麻生首相を招く。西谷洌議会対策委員長は「内閣は大きなダメージを受けている。首相が県民にちゃんと声を届けてほしい」と述べた。

 中川氏の辞任騒動で、国会は丸1日空転した。宮城県連の土井亨会長(衆院宮城1区)は「経済対策の予算を一刻も早く仕上げるべき時なのに、こんなことに時間を費やすのが情けない。与野党とも国民のおしかりを受ける」と嘆いた。

 連立を組む公明党も、世界中に配信された醜態にはさじを投げた。公明党宮城県本部の石橋信勝代表は「いかなる理由があってもあのような失態を見せては駄目。あきれたと言うしかないし、残念至極だ」と語り、擁護する姿勢は見せなかった。

◎「おごりの結果」野党

 中川昭一財務相兼金融担当相の引責辞任で、さらに自壊が進んだ麻生政権に東北の野党陣営は17日、一斉に批判の矢を浴びせた。
 国際舞台での醜態に、民主党岩手県連の佐々木順一幹事長は「国辱行為。緊張感のない政権末期の現象に国民はあきれている」と責め立てた。

 衆院の解散・総選挙を要求し続けている民主党。山形県連の木村政信幹事長は「政権のたがが緩んでいる象徴。国民の審判を仰がない政権が続いたことによるおごりの結果だ」と切り捨てた。
 宮城県連の木村勝好幹事長は「麻生太郎首相は、盟友を最重要ポストに配置した結果、国内外の信用を損ねた」と首相の任命責任を問いただした。

 「体調不良ならば、会見時間を変更すべきだった。中川氏の辞任は当然」と共産党青森県委員会の堀幸光委員長は突き放し、社民党秋田県連の石田寛幹事長は「日本国民が恥をかいた。トカゲのしっぽ切りで済ませるべきではない」と非難した。
2009年02月18日水曜日

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