不況が深刻化して、改めて日本がこれほど米国頼みだったかと思い知らされた。米国の住宅ローンの焦げ付きが、世界を巡り巡ってトヨタとソニーをつまずかせ、「派遣切り」につながった。
なら、回復のためには元を断つしかない。米国民にカネを渡し、彼らが住宅や自動車を再び買い始めれば、ビッグ3もトヨタも立ち直る。世界的に「バイ・アメリカン」運動をしても効果はあるだろう。
でも実際は、各国は足元の火を消すのに必死で米国どころじゃない。日本の火消しのために出てきたのは「公共工事」と「定額給付金」だ。
公共工事は後世に残るインフラ整備ができるのならいいが、緊急のカネつなぎ目的なら効果は一瞬。定額給付金は納めた税金を「私たちの能力ではうまく使えません」と政治家が返してくれるわけで、もらっても「大丈夫?」と心配になる。
しかもそれを審議する国会は、郵政民営化に反対だったとかいう首相とろれつの回らぬ元大臣、「かんぽの宿」で立ち往生気味。やっぱりバイ・アメリカンの方がすんなりいくんじゃないの、と思うのは私だけ?【小林理】
毎日新聞 2009年2月18日 地方版