塾高野球部の実態
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●全部員137人中、実に50人が県外出身者
最近の躍進には目を見張るものがある。
19日の明治神宮野球大会・高校の部で慶応(関東・神奈川)が初優勝。慶応義塾創立150周年目の快挙に上田監督は「選手が本当に成長してくれた。誇りに思う」と感無量だった。今年は56年ぶりとなる甲子園の春夏連続出場を果たし、この神宮大会制覇。慶大が大麻騒動に揺れているだけに、明るい話題は大歓迎だろう。
だが、ネット裏の高校野球関係者は「全国から野球留学でいい選手を集めたら勝てます。慶応は高校野球界の巨人ですよ」と皮肉を込めるのだ。
慶応の野球部員は、来年3月に卒業する3年生を含めると総勢137人(慶応高のHPから)。これだけでもかなりの大所帯だが、県外出身者は実に50人にも及ぶのである。県外出身者は、03年から推薦入試を導入したことで一気に増加。毎年、スポーツや芸術などで顕著な成績を残した約40人の生徒を全国から入学させている。奨学金制度もある。
夏の甲子園の際、上田監督は「選手をかき集めていると言われても仕方ありませんが、ウチは昔から地方や海外出身の生徒が多い。関西や九州どころか、カザフスタンや北京出身という生徒もいた」と話していたが、高校野球事情に詳しいスポーツライターは近年の慶応についてこう話す。
「力道山の孫である田村(3年・投手、本牧中)が卒業しますが、来年以降はさらに強くなるでしょう。特に決勝戦で登板した白村(2年・投手)は、岐阜・美濃加茂中出身で来年ドラフトの目玉選手です。推薦で全国から野球エリートをかき集めるのは、高校で優秀なスポーツ選手を囲い込み、そのまま大学へ内部進学させて大学野球を強化する狙いもある。慶大野球部はこのところ早大、明大の後塵を拝していますが、高校上がりの実力選手が定着する数年後には、慶応の黄金時代が訪れるかもしれません」
かつて慶応義塾塾長でスポーツに造詣が深かった小泉信三は、「果敢なる闘士たれ、そして潔き敗者たれ」とフェアプレーの精神を説いていた。いまの慶応のお偉方は小泉の言葉をお忘れではないだろうが……。
(日刊ゲンダイ2008年11月20日掲載)
以上日刊ゲンダイより。
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