中川財務大臣、白川日本銀行総裁共同記者会見の概要 |
|
(平成21年2月14日(土)) 於:ローマ |
|
【冒頭発言】 | |
中川大臣) | 昨日の夜からG7の会合、実質的には今日ですけれどもやりまして、共同宣言が出ました。日本としては、実質的な経済対策をやるということと、それからADB(と協力してJBICが)10億ドルの支援をするということ、具体的な対策を採ったということです。他の国は色々言っておりますけれども、具体的にIMFの1,000億ドルのことについては昨日正式に合意いたしましたし、あるいはIFCに対する20億ドルに対しても以前に日本でも合意をしましたから、どんどん具体的なことをやっていくことが世界に対する貢献であり、また国内に対しても、日本銀行を含めて大事なことをやっていくことが今やるべきことであろうというふうに思っておりまして、まさにそのことを日本がやっているということをお示しをしたと。そして、4月2日のG20に向けて作業を進めていきたいというふうに考えております。 |
白川総裁) |
今回のG7では、国際金融資本市場の強い緊張状態が続く中、新興国を含め世界経済は大幅に悪化しているという認識が共有されました。そのうえで、国際金融資本市場および金融システムの安定を確保し、世界経済の成長の回復と雇用の確保のため、G7諸国が最大限の政策措置を採っていくということが改めて確認されました。 私からは日本経済の状況と金融政策について説明を加えました。そのうえで、この間、日本銀行が行った政策対応につきまして、特に企業金融の円滑化に向けた措置を中心に説明を行いました。 |
【質疑応答】 | |
問) | まず白川総裁、日本の金融政策の説明をされたということですが、CPの買切りをはじめ、今まで採っていない異例の措置とおっしゃっていることをいくつもやっていらっしゃいますが、その点については各国からどんな評価を得られたのでしょうか。中川大臣にお伺いしたいのは、今回は反保護主義ということで議論をされたと思いますが、中川大臣はどのような発言をされたのかということと、今回WTOのラミーさんがいらっしゃっていると思いますが、WTOの代表としてどのような発言があったのかをお聞かせください。 |
白川総裁) | 各国が自国の採っている政策を説明しましたけれども、一つずつのその国の施策についてコメントがあるということでは必ずしもありません。日本銀行はCPの買入れを既に行っていますし、社債の買入れについても検討を行っているわけですけれども、ご存知のとおり、アメリカはCPの買入れ政策を既に行っていますし、それから今月はABSの買入れを行っているわけです。同様にイギリスも社債、CPの買入れを始めるわけですが、そうした各国による政策全体を受けて、今回の声明文でも金融政策について触れられています。「政策金利は非常に低い水準まで引き下げられており、必要に応じ非伝統的な金融政策上の行動がとられている」と記されていますが、こうした政策措置は適切であるという評価であったように思います。必ずしも日本銀行を特定しているわけではありませんけれども、そうした評価であったということだと思います。 |
中川大臣) | 日銀の決定された金利は非常に低い状況になっている、そういう判断をされている、しかもCPの買取りや株式の買取りとか社債の買取りとか色々なことをこれからも含めてやっているということでありまして、これは私は高く評価をしたいというふうに思っております。そういう中で日本政府の方が今何をやるべきかということについては、野党がつまらない抵抗をしているわけですけれど、一日も早く21年度予算あるいは20年度補正予算の関連法をあげると、これが最大の景気対策であると。今日も色々な国のひどい厳しい状況を聞きました。日本が一生懸命これを打開するということが一番大事だというふうに改めて強く感じました。 |
問) | 中川大臣に1問お伺いします。先程、21年度予算と20年度補正予算の関連法案をあげることがまず第一の景気対策だというお話がございましたが、今回の声明ではさらに積極的な財政出動を各国が協調して行うことが効果的だという内容が入っていますが、そもそもアメリカから日本に対してより一段の景気対策を求めるような発言であるとかそういったことがあったかどうか、さらに週明け発表されるGDPではかなり厳しい数字が予想されますが、より一層の景気対策を考えていくことになるか、その辺りをお聞かせください。 |
中川大臣) | オバマ政権に対して、日本は早く適切に財政出動をやってもらいたいということは申し上げました。他方、アメリカから日本に対していわゆる75兆円、(財政措置が)12兆円の緊急対策に対してプラスアルファをしろというような要請は無かったと思っています。要は早く第2次補正予算の財源問題にしても21年度予算にしてもしっかりとやるということが大事だということについては言うまでも無いことだと思いますけれども、これをしっかりとやっていくことが一番必要だというふうに改めて思いました。 |
問) | 為替なのですが、ステートメントを見る限り大きな動きは無かったように見えるのですけれども、ただ円高水準が進んでおりまして、日本の企業収益なんかも圧迫していると思いますが、日本側から為替に関して何か発言をしたことがあれば教えてください。 |
中川大臣) | コミュニケはあのような形で出ましたけれども、為替に関しては急激な変動に対しては各国協調してこれに対抗していかなければならないということを文章に載せたということの大きさを考えて頂きたいと思います。 |
問) | 中川大臣にお尋ねします。今回の声明の中では、中国に対する期待のような文言が出ているようなのですが、この辺り世界経済の今後の牽引役としての中国に期待するというような、そういう議論がなされたのかどうか中身を細かく教えていただきたいと思います。 |
中川大臣) | コミュニケの議論の中では、中国とかいうことはありませんでした。ロシアのクドリンさん他がご発言をされましたけれども、中国はルールどおりにしっかりとしたデータを出しているのであれば、まずそこは信頼しましょうということだと思いますね。これは白川総裁の方もどうぞ。 |
白川総裁) | 中国経済だけをとりあげて(シングルアウトして)期待を表すということではありませんでした。世界経済全体が今厳しい状況ですから、やはり各国が力を合わせて経済の再建に取り組んでいくという、そのような議論であったとの認識です。 |
問) | 先程中川大臣は金融政策の現状について暖かく評価されているとおっしゃいましたが、今回のステートメントで「あらゆる政策手段を用いて」という言葉が入っておりますが、今後の金融政策の展望について白川総裁にお聞きしたいのですが。 |
白川総裁) | 来週、水・木曜日に金融政策決定会合が開かれます。経済の現状、金融の現状について大変厳しい状況であるという認識を持っているということをこれまでの決定会合でも申し上げてきましたけれども、前回会合以降のデータを踏まえて、来週の会合ではさらに丁寧に点検をして議論をしていきたい、と思っています。現時点では、特に具体的な内容についてお答えすることはありません。 |
問) | 中川大臣に2つお伺いしたいのですが、今回の共同声明を見ますとこれまでのG7に比べてかなり具体的な対策にまで踏み込んだ内容になっていると思うのですが、今回がこれまでのG7と違う点、今回の会議の全体の雰囲気といいますか各国についてどういう印象をお持ちになられたかという点と、もう1点は、昨日2者会談もありましたけれども、今回アメリカのガイトナー財務長官が初めてG7に参加されましたけれども、彼がオバマ政権において今後少なくとも数年間アメリカの財政を担当していくわけですけれども、彼のリーダーシップなり会議での印象等をどのように受け止められているかというのをお聞かせいただけますか。 |
中川大臣) | 10月のときは非常に悪くなった、リーマン・ブラザーズ、AIGのことも含めて。あの時に何かしなければいけないということでしたが、今回はアメリカもヨーロッパも日本も国内対策、あるいは私が昨日やりましたIMFの1,000億ドル、IFCの20億ドル、あるいはJBICの10億ドルと、そういうことをやりましたので、とりあえず国際的にはよいのだけれども、肝心なアメリカやヨーロッパが大変かもしれないよという状況の中でのG7/G8ということになりますので、ある意味では非常に厳しいと思いますね。だけれどもそれを皆で、アメリカの対策も一応説明を受けましたし、これからの状況に向かっての4月2日のG20、その前に色々僕らベースのものがありますけれども、そんな状況の方向性だったのかなと思いますけれども。 |
(以上) |