県立4病院の今後の運営形態について、県は17日開かれた県議会全員協議会で、一志病院(津市)を民間事業者に移譲するなどの基本方針案を明らかにした。議員からは批判的な意見が相次いだ。
外部有識者による「病院事業の在り方検討委員会」が昨年示した答申に沿った内容。一志病院については「診療圏に広域性が認められず県立病院の枠組みでは総合的な高齢者ケアなどの福祉領域への取り組みを進めることに制約がある」として、民間事業者に移譲するとしている。
志摩病院(志摩市)は「病院機能の維持が危惧(きぐ)されるほど医師不足が厳しい状況」とし、県立病院としては維持しつつ、指定管理者制度を導入する。総合医療センター(四日市市)は一般地方独立行政法人へ移行し、こころの医療センター(津市)のみ病院長を事業管理者とすることを前提に従来の運営形態を継続するとしている。4病院の資金管理などを一括対応している病院事業庁も廃止する方針で、こうした改革を3年をめどに実行するという。
議員からは「民営化により市場原理に任せて競争させるという話ではないか」「どのように良くなるかが明確でない」「民営化ありきではないか」などの意見が出た。野呂昭彦知事は「民間への移譲は一志病院だけで民営化ありきではない。県議会からの申し入れも考慮し判断した」と述べ、理解を求めた。県は今後、方針案について地域住民や各病院職員らに説明会を開き、基本方針としてまとめる予定。【田中功一】
〔三重版〕
毎日新聞 2009年2月18日 地方版