経済が悪化の一途をたどるなか、中川昭一財務・金融担当相が辞任に追い込まれた。各地の有権者からは本人だけでなく麻生太郎首相や自民党への厳しい批判の声が上がった。
「腹立たしいというより、あきれてしまう」。麻生首相の地元・福岡県飯塚市。建設会社を営む男性(57)は「景気対策に真剣に取り組んでほしい時に、あの調子では、大臣を任せておくことはできない」と話した。景気悪化で大口受注がキャンセルされたばかりといい、「次期衆院選でも有権者は忘れないのではないか」と選挙への影響も口にした。
買い物客やサラリーマンで混雑する東京・新宿のJR新宿駅前。待ち合わせ中の北区のフリーカメラマン、小林伸さん(41)は「安倍(晋三)首相が辞任したときから自民党の政権担当能力は低いと思っていたが、今回の件で、あの人たちにはもうやってほしくないと思った」とあきれ顔。妹と食事に行く途中だった板橋区の主婦(73)は「雇用や教育に問題が山積する中、怒りを感じる。自民党はもう潮時じゃないですか」と突き放した。
中川氏の地元・北海道帯広市の繁華街では調理師の男性(60)が「『北海道初の総理になる』と言われていた時期もあったが、今回の辞任でもうダメだろう。あんな醜態をさらすほど自分を管理できないようではどうしようもない。地元の恥だ」と言い放った。
「本来なら麻生首相も責任を追及されるべきだ」。広島市中区の繁華街を歩いていた自民党員の男性会社員(29)は、トップの責任に触れ「自民党は早い時期の選挙を考え、国民の信を問い直したほうがいい」と話した。
仙台中心部の商店街で買い物中の同市青葉区の主婦、佐藤美知代さん(40)は「国の代表として(G7に)行った人が、世界から『あれが日本の大臣か』と言われるのは情けない。その後の言い訳もごまかしのようで納得できない」と冷ややかだった。
一方、愛知県江南市の大学3年、田中久美子さん(21)は「今朝まで辞めないと言っていたのに衝撃。職務を投げ出さず、麻生政権を支えるべきだ」と辞任に反対した。
毎日新聞 2009年2月17日 20時22分(最終更新 2月18日 2時53分)