府北部で深刻な医師不足に対応するため、府は今夏にも府立医科大(上京区)の医学科・看護学科の学生計100人を北部の公立6病院に送り、患者とのふれ合いを中心にした体験型実習で地域医療の担い手育成に乗り出す。府医療課は「人々に頼られている先輩医師らの姿を間近に触れ、自分自身の将来を重ね合わせてほしい」と期待を寄せる。【武井澄人】
同課によると、新臨床研修制度の導入(04年4月)前後の4年間で比べると、北部の丹後・中丹医療圏で医師数が4%減る一方、北部以外の4医療圏は7%増で、府内でも医師の偏在傾向は顕著になっている。これを踏まえ、同大学が07~08年度に現場実習を試行。学生計約200人が参加し、「地域の実情がよく分かった」「将来の選択肢になった」との声が上がった。
新たな実習では5日間の滞在期間中、従来の先輩医師や看護師の仕事見学だけでなく、患者の話し相手になったり交流会を開くなどコミュニケーションに軸を置く。医学科は5年生、看護学科は4年生が、へき地診療所などに赴く。
府は事業費500万円を盛り込んだ新年度当初予算案を計上。山田啓二知事は17日の府議会代表質問で、石田宗久府議(自民)の質問に、「医療を志す若者が地域医療の重要性への理解を深め、使命感が醸成されるよう努めたい」と答えた。また、新臨床研修制度は「机上で考え過ぎた面があった」と批判した。
毎日新聞 2009年2月18日 地方版