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【主張】日米首脳会談 同盟深化へ実行力を示せ
来日したヒラリー・クリントン国務長官が麻生太郎首相、中曽根弘文外相、浜田靖一防衛相と会談し、麻生首相とオバマ大統領の初の首脳会談を24日にワシントンで行うことで合意した。
クリントン長官は「麻生氏はオバマ政権が最初に招く外国指導者だ」と語り、実務レベルで3月を想定していた首脳会談日程が大幅に前倒しで実現される意義は小さくない。アフガニスタン問題の関連で日本政府がパキスタン支援国会合を東京で開催し、米国が協力することも決まった。
国務長官として日本を初の外遊先に選んだ異例の判断に加えて、日本を重視して日米同盟のさらなる深まりをめざすクリントン氏の積極的な姿勢を評価したい。
長官は横田滋さん夫妻ら拉致被害者家族とも面会した。外相会談では「北朝鮮の核、ミサイル、拉致を包括的に解決する」との日本政府方針に沿って、日米韓の連携を強化することで一致した。前政権末期の米朝協議が核問題に傾斜し、拉致への配慮が薄れて日本国民を失望させたことと比べれば、重要な変化の兆しである。
ただし、今回の訪問は同盟の強化と発展に向けた基本的立場の確認に重きを置いたもので、いわば総論だ。米側の前向きな態度表明を受けて、今後は日本が各論で同盟国としての期待と責務に十分に応えていけるかが問われる。
米軍再編では、沖縄駐留海兵隊グアム移転に関する協定が署名された。だが、グアム移転を含む再編の成否は普天間飛行場移設にかかっている。辺野古地区の代替施設建設に関して日米合意修正を求める地元との調整は難航中だ。
麻生首相は「修正は困難」としている。国内調整が進展しないまま、日米合意以来すでに10年以上が経過した。これではオバマ政権も日本を信頼できまい。
6カ国協議についても、クリントン長官が北朝鮮に拉致の情報提供を迫る姿勢を示したことは歓迎できる。だが、今後の協議で核廃棄プロセスや米朝関係正常化問題などとうまくかみあわせるには、より緊密でスマートな連携が欠かせないのはいうまでもない。
首脳会談では金融サミット(G20)、地球環境、海賊対策なども課題になる。世界を視野に置いた同盟の強化と発展にいかに肉付けし、日本がその中でどう行動するのか。麻生首相の具体的な政策実行力が何よりも重要だ。