服役中の日本人男性を父親とする認知届を勝手に提出し、子供に日本国籍を取得させようとしたとして、警視庁組織犯罪対策1課と池袋署は、公正証書原本不実記載などの疑いで、いずれも中国籍で東京都豊島区池袋の無職、王宗容疑者(29)と夫の沈楠容疑者(28)、足立区西新井本町のブローカー、郭清清容疑者(34)を逮捕した。3人はいずれも容疑を認めている。郭容疑者は「沈容疑者から頼まれた」と犯行を主導したことを否認しているという。
同課の調べによると、3人は、王容疑者と沈容疑者との間にできた子供に日本国籍を取得させようと、日本人の男(56)名義の認知届を偽造し、昨年1月22日、東久留米市役所に提出。子供が生まれた後の2月8日、足立区役所に出生届を提出し、職員に男性を父親とする虚偽の戸籍を作らせた疑いがもたれている。男は傷害罪で服役中で、認知届が出されていたことを知らなかったという。
同課がDNA鑑定を行ったところ、「男は子供の父親ではない」との結果が出た。DNA鑑定で偽装認知の裏付けを取ったのは極めて珍しいという。
同課によると、郭容疑者は在日中国人向けの新聞に広告を出し、行政相談にのっていた。この男と中国人の女を偽装結婚させたとして、郭容疑者や男が昨年10月に電磁的公正証書原本不実記録などの疑いで逮捕され、調べの中で男を父親とする偽の認知届が出ていたことが分かった。沈容疑者から「子供に日本国籍を取らせたい」と相談を受けた郭容疑者が、男の名前を使って認知届を出させることを指南したとみられる。
王容疑者らは「子供に日本国籍が与えられれば、日本の教育が受けられる」などと供述しているといい、同課は子供に日本国籍を取らせた後、自分たちも永住資格を取得しようとしたとみて調べている。
国籍法では、結婚していない日本人男性と外国人女性の子供に日本国籍を取得させるには、出生前に日本人男性が認知するか、出生後に結婚することが必要だった。しかし、今年1月に施行された改正国籍法では、婚姻関係がないままでも、出生後の認知で日本国籍を取得することができるようになった。同課は「法改正を悪用し、偽装認知が増える可能性もある」と警戒している。
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