県議「予算案否決も」 県立病院・診療センター無床化
「住民の理解を得ないまま、無床化を進めれば行政不信が生まれる。再考を求めたい」。県議会第三会派、政和・社民クラブの田村誠代表は16日、宮舘寿喜副知事に計画の一時凍結を求める要請書を提出した。 要請に賛同したのは達増拓也知事の与党会派の民主・県民会議を除く26人。全47議員の半数を優に超えた。 田村代表は2月定例会での対応について「当局の姿勢を見極めて考えたい」と話したが、水面下では無床化の4月実施阻止に向け、いくつかの案が浮上している。 <3パターン想定> 凍結派議員によると、想定されるのは「知事に対する不信任案の提出」、無床化を前提にした病院事業会計の「当初予算案の否決」か「修正案の提出」の3パターンだ。 仮に不信任案が可決されれば、知事は10日以内に議会を解散するか失職するしか道はない。予算案否決なら、県側が無床化をいったん撤回し、修正の予算案を出すなどしない限り、県立病院全体の運営がまひする。 議会側が予算を入院ベッド維持の方向に組み替える修正案を出せば、大混乱は回避される。第二会派自民クラブの千葉伝代表は「医療局内にも無床化反対の職員はいる」と言うが、修正案作成に欠かせない内部の協力が得られるかどうかは分からない。 こうした事情もあり、凍結派のある議員は「予算案の否決しかない。執行部が県立病院の混乱を避けたいなら、その後、暫定予算案を出せばいい」と主張。別の議員は「否決すれば、知事は民意を問う出直し知事選に打って出る」とまで言う。 <「あまりに拙速」> これに対して、民主・県民会議の佐々木順一代表は「議会審議を前に一時凍結を要請したことはあまりに拙速だ。予算を否決する覚悟があってのこととは思えない」と凍結派の動きをけん制。会派対応については「代表質問や一般質問の知事答弁を聞いた上で判断する」と話す。 県立病院の経営悪化と医師不足を背景にした無床化計画。「県立病院の厳しい現状は理解している」(田村代表)と言う凍結派と県側の溝が埋まるかどうか。 「無理を重ねている勤務医に我慢を続けろという命令は出せない。民意に沿った県政運営がなされているとも思っている」。知事は10日の定例会見でこう語った。 トップの決意を踏まえ、知事周辺は「予算案の否決を想定に動いてはいない。議会の理解を得ることしか頭にないはずだ」と話している。
2009年02月18日水曜日
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