女優の真矢みきさんは、宝塚歌劇団の男役トップスターだった。宝塚ならではの男役から女優への転身ぶり、しかもテレビや映画などでの活躍には目を見張らされる。
そんな真矢さんだが、宝塚音楽学校時代の成績は三十九人中三十七番目(自著「願えばかなう」)と、最初から優秀ではなかった。入学試験は二十倍以上という超難関の音楽学校だが、入ってからも舞台を目指す少女たちのしのぎを削る世界がある。
音楽学校の入試は今年も三月下旬に行われるが、従来と試験内容が変更されたことで注目を集めている。一次試験は面接のみで実技がなくなった。歌やバレエのレッスンを受けていなくても受験できるよう門戸を広げたのだ。
さらに二次の実技も「素質」重視へとハードルを下げた。今の能力の高さよりも、将来性のある“原石”を狙うという。
スターになるには「華」が必要といわれる。容姿だけではない、その人独特の個性的な魅力だと思う。入試改革が、どんなスターを発掘できるか、まさに宝探しといえる。
真矢さんは、先の著書でトップになれたのは「“願い”勝ち」と記す。確かに、あきらめが先に立っては夢がないだろう。宝塚に限ったことではない。誰もが持つ夢や願いの実現に向けて、道が開かれた社会であってほしい。