大分キヤノンマテリアルの大分事業所の一期工事が完成、工場内を見学する関係者の中に大賀容疑者の姿も。胸には来賓につけられるリボン(前列左から3人目の赤いネクタイの人物)=07年1月
「どこまで捜査の手が伸びるのか」。鹿島の裏金をめぐる脱税事件で、東京地検特捜部は大分市のコンサルタント会社「大光」社長の大賀規久容疑者(65)や元大分県議会議長、長田助勝容疑者(80)ら計十二人を摘発し、県政界も巻き込む一大事件へと発展した。それぞれの思惑が絡み、複雑に行き交う汚れた金―。大分市のキヤノン工事を舞台にした腐敗の構図は解明されるのか。
「長く県議を務め、清潔なイメージで慕われていたのに。事実とすればつらい」。長田容疑者を支援していた地元・佐伯市蒲江の男性(56)は唇をかんだ。自民党県連の志村学幹事長(県議)も「このようなことになるとは全く想像できなかった」と事件の広がりに驚きを隠さない。
キヤノン工事を取り仕切っていた大賀容疑者と長田容疑者は古くから付き合いがあった。県内の建設業者は「約三十年前、長田容疑者が大賀容疑者を連れて業者と会合を繰り返していた」と振り返る。「当時の大賀容疑者はまだフィクサーという感じではなかった。長田容疑者の影響力もあって成り上がっていったのではないか」と語る。
両容疑者とも日本経団連会長の御手洗冨士夫キヤノン会長と親しかった。大賀容疑者は、兄が御手洗会長と高校の同級生で、家族ぐるみの付き合いがあったという。長田容疑者も御手洗会長とは同郷で遠戚(えんせき)。選挙でも地元に強い影響力を持つ御手洗家から支援を受けていた。
「御手洗会長の威光を最大限に利用したのは間違いない」と関係者。大賀容疑者が郷里の“佐伯人脈”も駆使して警察官僚や国税OBなど多岐にわたる交友関係を築き、業界内で影響力を増していったとみる。
別の建設業者は大光グループの“金庫番”と言われた長田容疑者の長女の美穂容疑者(47)が逮捕されたことに注目する。「不透明な金の流れが解明される中で、隠れていた人脈が暴かれるのでは。まだまだ広がっていくのだろうか」とつぶやいた。
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