郵政民営化の見直しを進める「自民党郵政民営化に関するプロジェクトチーム」(PT、中谷元・座長)が検討する4分社化の修正案の全容が16日、明らかになった。修正案は、平成17年の郵政民営化法の制定時に造反した自民党議員らでつくる「郵政研究会」(代表・山口俊一首相補佐官)が17日にPTへ提出する。小泉純一郎元首相が4分社化の見直しに言及した麻生太郎首相を猛烈に批判した直後だけに、初の具体的な修正案の提出により党内の亀裂がさらに深まることは必至だ。
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修正案は、(1)現在の「日本郵政」が郵政グループ各社の持ち株会社となる形式を変えないまま、配達業務を行う郵便事業会社と郵便局を運営する郵便局会社を合併させ、3分社に再編する(2)日本郵政に郵便事業会社と郵便局会社を合併させて「統括会社」を作り、「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」の株式を保有させる2分社化−の2案。
郵政研は、民営化が過疎地の郵便配達事業のサービス低下や郵便局の廃止を招いたことを批判。修正案によって、郵便事業の人員を増やし、全国一律サービスの維持を目指す。また、民営化法で株の完全売却期限と定められている平成29年以降も「統括会社」が株を保有し、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の収益を郵便局に持続的に投下する道を残そうとしている。
PTとしては、運用改善で対応できる問題と法案改正などの制度見直しが必要な問題に分類して、論点整理した報告書を近く取りまとめる予定だ。
一方、郵政研提出の2案のいずれかを実現するためには、運用改善では済まず、郵政民営化法そのものの改正が必要だ。郵政研幹部は「5月には法案を国会に提出したい」としている。
だが、郵政民営化推進派は4分社化を「郵政民営化の骨格」(小泉氏に近い武部勤元幹事長)と位置づけている。4分社化の見直しを「将来の課題」として先送りする意向を示すPT幹部もいるが、修正案の検討自体が、小泉氏ら民営化推進派の反発を呼ぶことになりそうだ。
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