中川昭一財務・金融担当相が辞任して麻生太郎首相の政権基盤がさらに弱体化した17日に、クリントン米国務長官と会談した民主党の小沢一郎代表。クリントン氏が呼び掛けた「日米同盟の強化」に小沢氏が「全面的に同意する」と応じるなど、次期衆院選後の民主党への政権交代が現実味を帯びたことを印象づける会談となった。
「同盟は一方が従属する関係であってはならない」。小沢氏は会談で、持論である「日米同盟発展のための対等のパートナーシップ確立」を訴えた。クリントン氏も「パートナーシップは必要だ」と賛意を示した。
ただクリントン氏は、在日米軍再編問題を持ち出し、会談に先立って中曽根弘文外相と署名した、在沖縄海兵隊をグアムに移転する協定に言及した。「太平洋地域の兵力の近代化、抑止力、日本を守ることにもさらに貢献できる」と述べ、会談前は「私から特に話すテーマはない」としていた小沢氏の反応をうかがった。
小沢氏は「両国で世界戦略を話し合い、合意の上で個別問題に対応することが大事だ」と応じたが、民主党が主張している沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の県外・国外移設には触れずに終わった。
「今まで、日本がこれだけ言うことはなかったから、向こうは驚いていた。さすがは小沢代表だ」。同席した党幹部は会談の成果を強調した。だが、普天間移設問題をはじめ、日米地位協定改定など、党の具体的な主張を米国側に伝えることはなく、本格的に話し合う機会は次回以降の会談に先送りされた。【渡辺創】
【関連ニュース】
小沢代表:いたずらに審議引き延ばしせず
小沢民主党代表:「世界に醜態さらし責任重い」
小沢代表:米国務長官会談は「政策的課題なく顔合わせ」
小沢民主代表:米国務長官と会談へ 対米政策の試金石に
米国務長官:小沢代表と17日夜に会談 米大使館から連絡