イタリア・ローマで開かれた主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議(G7)が14日閉幕し、世界経済と金融市場の安定化が最優先の課題であるという共同声明が採択された。世界不況の厳しい情勢を踏まえた、この2日間の討議では、財政悪化や保護主義に対する懸念が表明され、声明には、経済成長と雇用拡大の促進を目指す方針が盛り込まれた。
議長国イタリアの主要メディアは、Il Sole 24 Ore紙が一面で「世界不況の深刻化」の見出しで記事を掲載、ジュリオ・トレモンティ伊財務省が会合前に提案した「市場の新しい規制監督の必要性」を取り上げている。また、La Repubblica紙も「反保護主義の認識」に焦点を当てている。
地元メディアのAnsa通信は、イタリアと同様、対米輸出に大きく依存している日本が先頭に立って、G7各国の間で保護主義的な動きに走ることがないよう牽制する姿勢に注目。La Repubblica紙とIl Giornale紙も、イタリア首脳は国内産業を過剰に守る動きに反対することを明確に表明し、米国の自国製品の優先購入を規定した「バイ・アメリカン」条項やフランスの自動車の本国生産を唱えた業界支援策を批判的に報道している。
また、世界最大の経済大国である米国に対して、マリオ・ドラーギ伊中央銀行総裁は、「金融緩和や公的資本注入に関しては、例外的な取り組みを示しているが、ヨーロッパに比べて、アメリカは景気刺激策で遅れを取っている」(Daw Jones通信)と指摘している。
4月にロンドンで開催されるG20会合に向けて、ドラーギ総裁は、「金融安定フォーラム(FSF)は、増資や厳密な管理体制などを中心に協議するよう提案、銀行の監督規制基準を設定する必要性を強調している(Il Corriere della Sera紙とIl Sole 24 ore紙)。
今年末まで、日欧米では戦後最悪のマイナス成長が続く見通しの中で、どれだけ具体的な対策に踏み込めるか、景気回復に向けてG7各国の協調性が試されるときだ。
山盛菜々子(ミラノ在住ジャーナリスト)
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