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【櫻井よしこ 麻生首相に申す】歴史観持ち使命果たせ (1/4ページ)
このニュースのトピックス:自民党
麻生太郎首相は、満身創痍(そうい)である。
麻生政権の衰退は自民党の衰退とピッタリ重なる。衰退の原因は自民党らしさを失ったことである。同党の党是である憲法改正は、平たくいえば、自国と自国民の安全と安寧を、自力で守る力を備えるということだ。
党の再生、麻生政権の生き残りは、こうした自民党らしさをいかに取り戻すかにかかっている。いま、最も切実に問われているのは、国民の前に本来の価値観を取り戻す決意をいかに示すか、その決意を信じてもらえるいかなる手を打つかである。
文字どおりの崖(がけ)っぷちにもかかわらず、首相が問題視する事柄の、なんと皮相なことか。郵政民営化にどの時点で賛成に転じたか、そのことに関して濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)だと訴えている余裕など、ないであろう。首相の最大の問題は、己も党も日本全体も、その置かれている状況がいかに深刻かを読みとれないでいることだ。
明らかに首相には歴史観が欠けている。個人、党、そして日本の歴史。首相の言葉にあらゆる歴史観の欠如を感じるのだ。
これまでにも、当欄で問うてきた。首相はなんのために政治家に、そして、首相になったのか、と。また、首相就任が決定した瞬間に、祖父、吉田茂に言及したのは、いかなる理由だったのか、と。首相を支持してきた人々、自民党を支持してきた有権者のためにも、首相自身がいま一度、自らの責任と使命について考えるべきだ。